世界的な景気鈍化懸念が薄れて大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年06月15日 08時28分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9547.79△17.69

<TOPIX>812.95▼1.50

<NYダウ>12076.11△123.14

<NASDAQ>2678.72△39.03

<NY為替>80.45△0.22

世界的な景気鈍化懸念が薄れて大幅高

 中国の経済指標が良好となったことや朝方発表された5月の米小売売上高が11カ月ぶりの減少となるも予想ほど悪くなかったということで買い先行となりました。世界的な景気鈍化が懸念されていたのですが、いったんはここまでの情勢を織り込んだということなのでしょう。日本の大震災の影響で自動車販売などにかげりはみられたものの、底堅い消費ということで、世界的な景気鈍化懸念も杞憂に終わりそうだとの見方も出ているようです。

 多分にQE2(量的緩和)終了での資金の引き締めなどが懸念されていたのかもしれませんが、原油や金なども世界的な景気拡大の継続のなかで売られれば買われるという状況であり、株式市場でも買戻しを急ぐ動きもみられたのでしょう。中国など新興国での景気拡大鈍化も懸念されるほどでもないということになり、日本市場と同様に中国関連銘柄が買われるなど売られすぎの修正の動きも多かったのだと思います。

 個別には中国関連銘柄としてキャタピラーやアルコアなどが買われ、予想を上回る決算を発表したベスト・バイも堅調、アップル幹部を時期経営トップにすえると発表したJCペニーは大幅高となりました。インテルやアップルなどハイテク銘柄も高く、原油や金の先物が高いことから、エクソン・モービルなどの石油株やパブリック・ゴールドなどの金鉱株も堅調となりました。一方、総じて堅調ななかで手仕舞い売りや利益確定売りに押されて、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど銀行株をはじめとした金融株は軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が冴えない動きであったことなどから小動きとなりましたが、昼の時間帯に中国の経済指標が発表され、懸念されたほど景気拡大が鈍化していないことや物価が上昇していないことから好感する買いが入り、加えて、日銀金融政策決定会合の結果が発表され、景気判断が上方修正となったことも好感されて買われ大幅高となりました。上値も重いような感じもしましたが売られた銘柄が買われるといったように最後まで値持ちは良く、大幅高となりました。

 米国株が大幅高となったことから日本市場も堅調な展開が期待されます。ただ、昨日の大幅高である程度織り込んでいるものと思われ、上値も限られそうです。為替も対米ドルではあまり円安とはなっておらず、世界的に信用収縮懸念が薄れたものの、日本市場にとっての大きな反発材料とはなり難く、政局の混乱とそれに伴う、大震災からの復興の遅れなどが嫌気されるものと思います。それでもハイテク銘柄や自動車株など主力銘柄で売られた過ぎたような銘柄の見直し買いは期待できそうです。これまで幕間つなぎ的に買われていた代替エネルギー関連銘柄などの値持ちがよければ指数の上昇も大きくなるのでしょう。

 日経平均は引き続き9500円〜600円水準の節目を抜けるのかどうかを試す動きとなりそうです。米国株高ということですが、まだまだ米国での経済指標の発表などもあり、9500円〜600円水準が上値となっているような段階で、一気に抜けるほどの決定的な材料とも考えにくいと思います。9500円〜600円水準での上値の重さを確認することになりそうで、もう少し世界的な景気拡大が続いていることや、信用収縮懸念がないことが確認されてから上に抜けてくるのだと思います。

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