米国株が大幅安となり日本市場も軟調となりました。ただ、昨日の上値の重さが米国株安と織り込んでいたという面もあり、下げも限定的となりました。積極的な売り買いに乏しく指数に大きな動きはなく、相変らず方向感に乏しい展開でした。政局に進展がみられたわけでも、原子力発電所問題に変化がみられたわけでもなく、相場全体の方向感が読み難いことには変わりなく、積極的に買う、売る動きとならないものと思います。持高調整の売り買いも入っているようで、好材料が出て売られ、材料が出ていないにも関わらず買われているようなものもみられます。
値動きの良い銘柄に飛び乗るということが多く、目先の値動きが良い銘柄が高くなっています。本来であれば、こうした値動きに飛びついて売り買いするというのは一部の証券ディーラーだけでしたが、今は本当の株式投資を行なっている人の方が少ないのではないかと思います。いわゆる対面営業といわれる、証券会社の社員=営業マンと相談しながら株を売り買いするような人も少なく、インターネットの情報に飛び乗り、値動きの良い銘柄に飛び乗るということが多いような気がします。
確かにそうしたことでウン百億円を儲けてカリスマ化したいわば「素人」もいるわけで、いっこうに儲からないディーラーよりは逆に「プロ」なのかもしれませんが、本当に相場について酸いも甘いも知っているかといえばそうでもなく、これまでが「たまたま」儲かっただけかもしれません。もちろん、これまでの「リーマンショック」や「大震災」などもくぐりぬけてきたのであれば、「たまたま」とは言えないのかもしれませんが、その人の話を聞いたからといって儲かるわけでもないと思います。
ディーラーやデイトレーダーと言われる人の中には確かに「うまい」人もかなり多いのですが、やはり「うまい」だけでは「証券のプロ」と言えないでしょうし、「株のプロ」という意味でも違うと思います。理路整然と曲がるよりは支離滅裂でも儲ければ勝ちだと昔から言われていますが、しっかりと儲かった人には支離滅裂に見えても必ず理路整然とした理論や根拠に裏付けされた「感」のようなものもあり、やみくもに値動きについて行けば儲かるということでもないと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング