あなたは会社依存ですか、それとも自分依存ですか?――就職・転職前に考えてほしいことメディアとWebと人材と(3/3 ページ)

» 2011年07月14日 08時00分 公開
[中嶋嘉祐,Business Media 誠]
誠ブログ
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「企業依存」と「自分依存」、それぞれの転職を考える

 基本的に企業依存な人は転職をしない方が良いです。転職をすることで今よりも良い環境に巡り会える可能性もありますが、1回でも転職することで転職癖(≒逃げ癖)が付きかねません。何度も転職をするとズルズルと価値が下がります。できるだけ今の職場に踏みとどまることをオススメします。

 企業依存で大切なのは、長期間にわたって安定している会社を選ぶこと。ただ、最初の会社を選ぶのは若いころ。その時点で会社を見抜く目を持ち合わせていない人も多いでしょうし、数年先のことなんて予想できないほど変化が激しい世の中です。1〜2回くらいの転職は起こり得ます。

 「どうやら最初の選択を間違えたらしい」。そう感じた人は20代半ば〜後半をめどに転職を考えるのも良いでしょう。転職時に持っている情報をフル活用して、キャリアをまっとうするまで生き残れそうな会社を探してください。「今、元気な会社」という視点で探すのは危険かもしれません。

 自分依存な人の場合、転職を恐れる必要はありません。自らの市場価値が最大化されるキャリア、自分の目標を達成するためのキャリアを考え、節目節目で転職を考えていきましょう。ですが、必ずしも転職はポジティブな影響ばかりではありません。できれば2〜3年程度は1つの会社に留まり、一定の成果を残すまでは次の会社への転職は考えない方が良いでしょう。

 また、35歳を過ぎると正攻法では転職しづらくなります。できるだけ自分を評価してくれる会社を外部に作っておくか、独立しても食っていけるように備えておく必要があります。

「企業依存」「自分依存」に対する私見

 企業依存に対しては、ネガティブな発言ばかりに見えたかもしれませんが、私は決して企業依存を否定するつもりはありません。1つの会社に留まるからこそ大規模なプロジェクトを成し遂げられることもあるでしょうし、長年の実績によって初めて得られる評価というものもあります。また今の日本経済の大きな流れを支えているのも企業依存な人たちだと思います。

 企業“依存”と言うと表現が悪いわけですが、企業へのロイヤリティが高い生き方だと言い換えられます。「大企業で大きなプロジェクトにかかわり、社会に対して大きなインパクトを与えたい」「趣味・家庭も大事にしたい」という人には、企業依存な生き方がオススメです。

 対する自分依存な生き方について。こちらは自分自身が現在はフリーランスなので、まさに自分依存の真っ最中です。

 この生き方を選んで良かったなと思うのは、企業と自分が対等な関係なんだと感じられるようになったこと。若いころは「会社・上司からの評価が悪かったらどうしよう」といった不安を抱えながら働いていてストレスに感じることもありましたが、今はそんなストレスとは無縁の生活を過ごせています。

 極論を言ってしまえば、自分依存な人とは自分の仕事に自信を持てる人、数式で表すと「仕事でのアウトプット(もしくは市場価値)≧もらっている報酬」な人だと言えるかもしれません。

 ただ、個人的に最強だと思うのが「会社依存でありながら自分依存でもある人」。大企業に所属して社会に対して大きなインパクトを与え、もらっている給料を優に超えるアウトプットを出していく。そして、場合によっては人事部に働き掛けられるほどの影響力を持ち、自分が望む通りのキャリアを歩んでいく。「大企業で働きたい」と考える若手ビジネスパーソンには、大企業に入ることをゴールとするのではなく、「会社依存かつ自分依存」をゴールにしてもらいたいものです。(中嶋 嘉祐)

※この記事は、誠ブログ就職・転職前の予備知識 〜 『一生同じ会社に勤めたい』人向け編」「就職・転職前の予備知識 〜 『自分の人生は自分で決めたい』人向け編」より転載しています。

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