コラム
» 2011年07月26日 12時04分 公開

松田雅央の時事日想:ノルウェーで起きた無差別テロ! そして人は2つのことを考える (3/3)

[松田雅央,Business Media 誠]
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キリスト社会とイスラム社会の摩擦

 ブレイビク容疑者は拘留延長の審理で「欧州をイスラムの支配から救うため、国民に強烈なシグナルを送るのが目的だった」と語った。

 彼は移民受け入れを批判しているが、ノルウェーの移民受け入れ割合は決して高くない。人口490万人のノルウェーに住む移民1世と2世の割合は9.5%。移民との摩擦がほとんど伝えられないノルウェーで彼の言葉は狂信的な主張にしか聞こえない。

 イスラム社会との摩擦であれば、ドイツの方がずっと切迫している。移民の割合はノルウェーの倍(19%)、イスラム教徒の割合は4%を超える。

 以前、トルコ人の友人に誘われ、彼が通うモスクへ連れて行ってもらったことがある。彼は敬虔なモスリム(イスラム教徒)。住宅地にあるアパートの1階全体がモスクになっていて、じゅうたん敷きの大きな礼拝堂を見学した。東アジア系は筆者だけだったがモスクの出入りに制限はなく、異教徒の筆者が違和感を持つこともなかった。

 キリスト教を基盤とする欧州にあってモスリムは何かと肩身が狭い。ニューヨーク9.11テロ後はなおさらだ。「アラブ系の出入りが多くなる」「祈りの声がうるさい」などの理由でモスクを快く思わない家主や住民は多く、そのモスクも近々立ち退かなければならないと聞かされた。

 モスクの中でひとつ気にかかったのは入り口に張ってあったトルコの地図。そこには17世紀に最盛期を迎えたオスマン帝国の領土と歴代皇帝の名前が描かれている。アルジェリアからエジプト、バルカン半島、オーストリアまで地中海を取り囲む領土は広大だ。ただ、そういった歴史はトルコ人の誇りではあっても支配されていた地域の人々の神経を逆なでするもの。欧州とイスラム諸国がたどってきたせめぎ合いの歴史は長い。

 欧州がイスラムの宗教と文化を受容することは可能なのか。どのように共存してゆけばいいのか。今回のような突出した事件はまれだが、ことあるごとにこの疑問が人々の頭に浮かぶ。

 週が明けた25日、オスロで追悼集会が開かれバラなどの花を手に市民1万人が集まった。「7月22日を繰り返さないことを誓います」。集会であいさつしたストルテンベルグ首相の言葉だ。

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