コラム
» 2011年08月01日 08時00分 UPDATE

藤田正美の時事日想:ユーロが患う3つの病と、3つの処方せん (2/3)

[藤田正美,Business Media 誠]
yd_fujita2.jpg ユーロ硬貨

 第3に、統一通貨ユーロは、欧州に団結よりも対立をもたらすことが多くなった。アテネの学生やリスボンの失業者、マドリッドのデモ隊は、それぞれの国の緊縮政策に不平を言うだけでなく、ドイツのメルケル首相に抗議しているのである。さらにユーロは、ユーロ圏の国とそれ以外の国の間の溝も深めている。ブルガリアやルーマニアはもちろんユーロ圏に加盟してドイツの「保証」を受けたいだろうが、英国やスウェーデンがユーロに加盟したいと考えることなどあるだろうか。

 ギリシャやアイルランド、ポルトガルの債務危機が発生し、政治家が一時しのぎの対策を講じているあいだに、ユーロははっきりした3つの問題を抱えるにいたった。

(1)金融危機の結果、多くの銀行が不安定な状況になっていること。

(2)ユーロが高くなりすぎたことで南欧州諸国、フランスやベルギーなどの競争力が落ちてきた。

(3)ユーロ圏の国の中に巨額の債務を抱える国がでてきた。

 この3つの病気を同時に抱える患者を治療するのは難しい。簡単に対処できるかのようにいうのはミスリーディングである。しかし何も手がないというのも無責任なので、いくつかのオプションを示す。

プランA

 「どんな代償を支払ってもユーロを守る」と欧州委員会のバローゾ委員長は語ったが、その後にこう付け加えてもよかったかもしれない。「ただし支払うのはドイツ、オランダ、フィンランドだが」。しかしこの結果は、加盟国すべてにとって有害である。さまざまな支援パッケージは、ユーロ圏の組織的無責任体制をもたらした。もしどこかの国の債務についてすべての国に責任があるとしたら、それは誰も責任を取らないのと同じである。

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