格下げ懸念や芳しくない景気指標を受けて乱高下清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年08月02日 08時37分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9965.01△131.98

<TOPIX>851.70△10.33

<NYダウ>12132.49▼10.75

<NASDAQ>2744.61▼11.77

<NY為替>77.19△0.49

債務上限引き上げは合意したが、格下げ懸念や芳しくない景気指標を受けて乱高下

 債務上限引き上げ問題が合意したということで買いが先行、ヘッジ売りの買い戻しもあって、一時大幅高となる場面もありました。ただ、注目されたISM(米サプライマネジメント協会)製造業景況感指数が予想を下回ったことから一転して売られ、今度はダウ平均も12000ドルを割り込む場面がみられるなど軟調となり、その後はじりじりと戻すなど乱高下となりました。個別企業の業績が比較的好調で、指数として底堅さはみられるものの米国格下げ懸念や景気に対する懸念も根強く、一難さってまた一難という感じで、一つの問題が解決してもしっかりと買い切れないということのようです。

 市場のセンチメントが悪いというわけではないのですが、政局の混乱が嫌気されて芳しくない経済指標などにも敏感に反応してしまうようです。QE2(量的緩和)にみられるように、政府・金融当局の施策で米国景気が持ち直したという面もあり、今回のことに限らず、政局の混乱を嫌気するような動きはみられると思います。世界的な景気鈍化懸念も今のところはあくまでも「懸念」ということであり、米国で雇用の改善など一つ二つ好調な指数が示されればセンチメントも一気に好転していくのだと思います。

 個別には財政支出削減で国防費の減少が懸念され、ロッキード・マーチンやノースロップ・グラマンなど国防関連銘柄が下落、景況感の悪化でホーム・デポやウォルマートなど個人消費関連銘柄に安いものがみられましたが、キャタピラーやアルコア、GE(ゼネラル・エレクトリック)は堅調となりました。インテルやIBMは軟調、アップルは高く、バンク・オブ・アメリカは高くJPモルガン・チェースは小幅安、エクソン・モービルは軟調でシェブロンは高く、パブリック・ゴールドは高いのですがニューモント・マイニングは軟調と同じ業種や傾向を示す銘柄がまちまちとなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は週末の米国株安や円高にも関わらず、米債務問題合意のニュースを受けて買い先行、大幅高となりました。外国人も売り越しと伝えられたのですが、特に問題とされることもなく、寄り付きの買いが一巡となった後も好決算銘柄などを買い直す動きもあって大幅高となりました。円高基調にあることからさすがに最後は上値も重くなり、上げ幅縮小となったのですが、大幅高には変わりなく、主力銘柄などを中心に大きく値を飛ばすものも見られました。

 米国市場は下値固めという感じでしたが乱高下となり、ユーロも売られる場面があるというようにまだまだ世界的に落ち着かない相場となっており、日本市場も冴えない展開となりそうです。米債務問題の解決を機に好業績銘柄などを見直す動きは続くのでしょうが一方で世界的な景気鈍化懸念も強まっており、業績の好調な持続がはっきりとみえない銘柄などは一旦手仕舞い売りに押される場面もあると思います。政局の混乱もさらに強まっており、幾分落ち着いたとはいえ円高基調は変わらず、早めの手仕舞い売り、利益確定売りに押される場面もありそうです。買い戻しを中心に大きく上昇した主力銘柄には一服感も出てくるのだと思います。幕間つなぎ的に値動きの良い小型銘柄が物色されそうです。

 心理的な節目であった10000円水準が節目として認識されてきたようです。昨日の相場でも10000円台での引けとならなかったように、為替動向や政局が落ち着くまでは何度か9800円〜900円水準での底堅さを試すような、確認するような場面がありそうです。10000円台で引けるような展開になると10200円〜300円水準の節目を試す動きとなるのでしょう。当面はこの9800円〜900円下値、10200円〜300円水準が上値という状況が続きそうです。

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