労働時間が、減らないワケ城繁幸×赤木智弘「低年収時代よ、こんにちは」(2)(5/5 ページ)

» 2011年08月05日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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ムダなことをしている

城:そこそこ大きな企業の場合、働きたいと思っている人とそうでない人が、同じ職場で同じ仕事をしているんですよ。「本当はもっとバリバリ働きたい。自分はこんなところでくすぶっていてはいけない」と思っている人が、「いやいやこの仕事にはこうした意味がある」と自分に言い聞かせている(笑)。逆に「自分はもうこれ以上働きたくない。家に帰りたい」と思っている人も、同じ仕事をしている。これって、ものすごいムダなことですね。

赤木:正社員を早く帰らせるようにする。そして社会保障を充実させる。このことを言うと「みんな働かなくなる」という人が出てきます。でも僕はそう思っていなくて、人間が社会的動物である以上は「何かをやりたい」と思うはずなんですよ。その何かが仕事かもしれないし、趣味であるかもしれない。社会の中で自分の価値観に従って行動することは、とても大切なことなんです。

 自分の価値観に従って行動することで、経済的に結びつこうが結びつかなかろうが、個人の自主性に任せてもうまくいくのではないかと思っています。例えばフリーウエアの開発はもうからなくてもやっている人はたくさんいます。それでもネットという社会のインフラは、どんどん充実していっています。ネットの世界を見ていると、「働かない=社会にとってマイナス」ではないんですよ。

城:社会保障をどう充実させるかが課題になりますね。

赤木:国民年金にしろ国民健康保険にしろ、お金を支払わないとそのサービスを受けることができません。でもこれがなぜ「社会保障」と呼ばれているのかがよく分かりません。お金を払って保障を受けるというのは、それは「保険」なのではないでしょうか。

城:確かに。

 →続く

プロフィール

城繁幸(じょう・しげゆき)

 人事コンサルタントを務めるかたわら、人事制度、採用などの各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。著作に『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)、『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか−アウトサイダーの時代』(ちくま新書)、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』(PHP新書)ほか。

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赤木智弘(あかぎ・ともひろ)

1975年8月生まれ、栃木県出身。長きにわたるアルバイト経験を経て、現在はフリーライターとして非正規労働者でも安心して生活できる社会を実現するために提言を続けている。

著書に『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』(双風舎)、『若者を見殺しにする国』(朝日文庫)、『「当たり前」をひっぱたく』(河出書房新社)がある。ブログ「深夜のシマネコ」、Twitter「@T_akagi


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