赤木:企業が被災者に手を差し伸べるのは当たり前のこと。しかし最終的なところで、ゆがみを生んでいるかもしれない。もし大きなゆがみであれば、それは問題だと思う。
震災という目に見える不幸には、できるだけ手を差し伸べなければいけません。しかし就職氷河期を経験し、満足のいく仕事に就けなかった人にとっては不公平だ。自尊心を満たされていない人に対し、手の差し伸べ方が不十分だなあと感じています。
メディアは被災地での就活生をクローズアップしますが、その影でバブル経済崩壊後の就職氷河期世代の問題にはスポットを当てようとしていません。もちろんその余裕がないのかもしれませんが、このままでは問題そのものがなかったことにされかねません。
ホームレス支援をしている、あるNPO団体の人はこう言っていました。「今の状況で県からお金を引き出すには震災とからめなければいけない」と。
「なんとか震災とからめないと、これまで受けてきたお金が手にできなくなるかもしれない」と言ってました。またこれまでホームレスを支援してきた多くのボランティが、今は被災地支援に回っているそうです。そのため「募金額が減っている」とも。
就職氷河期を経験し、いまだ正社員になれない人または働くところがない人がいる。また若い人の間でホームレスが増えている。しかし「ロスジェネ世代の雇用問題はない」といった雰囲気になっているのがちょっと怖いですね。問題は蓄積されているはずなのに、その蓄積されている部分が見えにくくなっている。
城:実際、企業による被災者採用はそれほど増えてはいません。なぜなら被災地での雇用は少なく、他の地域での募集が多いから。例えば大阪であったり、福岡であったり。なかなか遠方で就職する人は少ないようです。
赤木:東北の人からすると、大阪や福岡は遠いですからね。
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