なでしこJAPANがもっと強くなるように、4つの施策を考えてみた郷好文の“うふふ”マーケティング(1/3 ページ)

» 2011年09月29日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 気が早いけれど、今年のスポーツシーンのベストは何だろう。

 ソフトバンクホークスのリーグ優勝はほぼ決まり。世界陸上ハンマー投げの室伏広治さんは実に堂々たる金メダルだった。11年連続の200本安打が絶望的なイチローも違う意味で感慨深い。でも、何といっても私の記憶に残るのは、あの神がかりのアウトサイドボレーである。

 サッカー女子ワールドカップ決勝戦、米国VS.なでしこJAPAN。1−1で突入した延長前半に2−1と突き放され、「これで終わりか」と誰もが思った。ところが、不思議なほど絶望感が漂ってこない。これは何か起きそうだ。でも、日本は早朝だから寝不足でモウロウ。何が起きるのか考える余裕はなかった。

 ところが、澤穂希にはその“何か”のビジョンがあった。延長後半12分に得たコーナーキック。キッカーの宮間あやが手を上げる。アイコンタクト。澤がファーサイドからニアへ猛然と走り込む。宮間がピシッと蹴ったボールはニアへ。上背ではドイツにもスウェーデンにも米国にもかなわない。コーナーキックを生かすにはヘッドはだめ、ニアから斬り込むしかない。かなり練習したパターンだろう。

 おおおぉぉぉぉっ! 入った! 右足のアウトサイド・ダイレクトボレー、まるでボールを足で斬るように澤は決めた。“神の足”のゴォォォォォール! の瞬間、日本女子サッカーの新しい道が開いた。

 振り返れば2005年、川淵三郎キャプテン(当時)が立てた目標「なでしこvision」はとてつもなかった。「2015年、FIFA女子ワールドカップで優勝する」。

 4年前倒しであっさり達成したこの目標は“ビジョン2”。ほかにも2つビジョンがある。

 1つは「世界基準の“個”を育成する(指導者の育成)」。もう1つは、サッカーを日本女子のメジャースポーツにして「2015年、女性のプレーヤーを30万人にする」。残念だが、この数値達成はまだ遠い。

 2010年度の選手登録数は「2万5278人」で目標の1割以下。これではチヤホヤされた後、なでしこはブームで終わってしまう。

なでしこvision(出典:日本サッカー協会)
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