ソニーの失敗、ベネチアンの成功に学べ――カジノ成功には何が必要なのか(4/5 ページ)

» 2011年10月07日 11時30分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

ソニーの失敗

 1990年代になると、ラスベガスのロケーション・エンタテインメントビジネスの成功を見たほかの企業も同じことを試みた時期がありました。私も一時、所属していたソニーも1990年代後半からロケーション・エンタテインメントビジネスを1つのプロジェクトとして立ち上げて、都市型のロケーション・エンタテインメント施設を世界3都市で作りました。しかし、そのコンセプトはシネコン、テーマレストランやシグネチャーレストラン、そして技術展示といったものに限られていたので、結局施設経営は失敗に終わりました。

 実例としては、まず次画像がお台場に現在でもあるメディアージュです。フジテレビの真向かいにあるので、中に入られた方も多いかと思いますが、シネコンがあって、レストランがあって、ちょっとしたリテール施設がある。しかし、この程度ではエンタテインメント施設としてはやはり不十分で、高額な建設費の回収ができないという散々たる状況でした。

メディアージュ

 同じようにサンフランシスコのダウンタウン、コンベンションセンターの真向かいに作ったソニーメトレオンというビルがあります。

 コンベンションセンターからこちらのビルにも人の流れが来るのではないかという読みで作られたのですが、残念ながらサンフランシスコという街はたいていのビジネスマンは夜になると郊外の自宅に帰ってしまうため、ダウンタウンに滞在する地場の人たちの数が少ないのです。そして、観光客は映画を見たり、ゲームセンターに行ったりするためにサンフランシスコに来るわけではないので、残念ながら稼働率が非常に低い。また、シネコンを入れたことによって、逆に建物全体がシネコンのビルだというイメージを持たれてしまって、特徴が薄まってしまったので、ビジネスとして失敗したのです。

ソニーメトレオン

 ソニーはもう1つ、ベルリンセンターというものも建設しました。こちらはエンタテインメント性より、落ち着いた雰囲気も重視されていました。しかし、残念ながら過剰投資であり、そして中のエンタテインメントコンテンツが非常に軽いものであったために失敗に終わってしまったという経緯があります。

ベルリンセンター

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