アマゾンやウォルマートに立ち向かえ、グルーポン物品販売進出(1/2 ページ)

» 2011年10月11日 08時00分 公開
[石塚しのぶ,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:石塚しのぶ

ダイナ・サーチ、インク代表取締役。1972年南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業で職歴を積んだ後、1982年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「『顧客』の時代がやってきた!『売れる仕組み』に革命が起きる(インプレス・コミュニケーションズ)」「ザッポスの奇跡 改訂版(廣済堂)」がある。


 「共同購入型クーポン」のグルーポンが、物品販売に進出した。

 初めてグルーポンの存在を知ったころ、その強みは「ローカル・ベースのサービス・ビジネス支援」だと定義していた。つまり、ご近所のレストランやスパといった、比較的小規模で、どんどんWeb化、ソーシャル化する世の中においてマーケティングに苦戦しているローカル・ビジネスを支援するということに大きな意義があると思ったのだ。

 そのグルーポンが、物品販売に進出した。それも、グルーポンでクーポンを購入して、それをローカルの店舗に行って還元する、というタイプのものではない。あくまでオンライン販売だ。グルーポンの登録顧客にはメールでセールの開始が知らされるが、そのメールからクリックスルーしてクーポンを買い、商品の提供サイトに行って購入を完了する。

 米国のビジネス系ニュース・サイトは「グルーポン、ダイレクトEコマースに参入」と報じる。提供商品を見るところ電化製品やエクササイズ機器、キッチン家電など、いわゆる「ガジェット」と呼ばれるものが主流のようだ。つまり、アマゾン、ウォルマート、ベスト・バイなどといった「米リテール業界の大御所」たちに真っ向から立ち向かうことになる。

 リゾート・ホテルを中心にディスカウント・クーポンを提供する「グルーポン・ゲットアウェイ」や、ユーザーの位置情報を利用し、最寄りのディスカウント情報を提供する「グルーポン・ナウ」など、最近のグルーポンは、株式公開をにらんでのアグレッシブな事業拡張に余念がない。しかし、今回の「グルーポン・グッズ」は、「ローカル」と「サービス」をキーワードに事業展開してきたグルーポンにとって、いまだかつてない大きな飛躍であると言える。

 現時点では、全米展開されているわけではない「グルーポン・グッズ」。ほとんど前触れもなく、都市ごとにロールアウトしていくという慎重な市場導入だ。あくまで本格導入ではなく、トライアルという意図もあるのだろうか。

 グルーポンは、グローバル規模では1億3400万人の登録顧客をもつ。これらの顧客のメール・アドレスを握っており、この膨大なオーディエンスにリーチする「潜在性」を持っていることが、グルーポンにとって今のところ最大の武器だ。

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