なぜ仕事がうまくいかないか? 改めて目的と手段について考える(1/3 ページ)

» 2011年10月19日 08時00分 公開
[村山昇,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:村山昇(むらやま・のぼる)

キャリア・ポートレート コンサルティング代表。企業・団体の従業員・職員を対象に「プロフェッショナルシップ研修」(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)を行なう。「キャリアの自画像(ポートレート)」を描くマネジメントツールや「レゴブロック」を用いたゲーム研修、就労観の傾向性診断「キャリアMQ」をコア商品とする。プロ論・キャリア論を教えるのではなく、「働くこと・仕事の本質」を理解させ、腹底にジーンと効くプログラムを志向している。


 「目的」とは目指す事柄を言います。そして、その事柄を実現する行為・方法・要素が「手段」です。

 何かを成し遂げようとする時、目的と手段は1セットになっていて、平たく言えば「〜のために(目的)」+「〜する/〜がある(手段)」という形になります。例えば、「平和を守るために、署名活動をする」「平和を守るために、法律がある」といったような形です。その関係を図に示すと次のようになります。

目的と手段は相対的に決まる

 さて、私たちは時として、何が目的で何が手段であったか混乱してしまう、気が付けば手段が目的に入れ替わっていたなどという経験をよくします。これはなぜでしょうか──。それは、目的と手段は目線を置くレベルによって「相対的」に決まるものだからです。つまり、あるレベルでは目的であったものが、違うレベルでは手段になりうるということが起こるのです。それを図で考えてみましょう。

 次図はある一般的な人の人生の流れを例として描いたものです。

 レベル1は、小学校低学年のときのことを思い出してください。このころは「テストでいい点を取る」ために、「しっかり算数を習う」「きちんと漢字を覚える」という目的・手段の組み合わせがあります。ところが、レベル2の高校生くらいになると状況が変わってきます。レベル1では目的だった「テストでいい点を取る」は、レベル2では手段となります。その手段の先には、「希望の大学に入り、好きな研究をするため」という目的が新たに生じたのです。しかし、人生が進み、就職段階のレベル3にくると、レベル2で目的だった「希望の大学に入り、好きな研究をする」は、新たな目的である「専門を生かした就職をするため」の手段となります。

 このように、ある1つの目的は、より大きな目的の下では手段となります。つまり、自分がどのレベルに目線を置くかによって、何が目的か、何が手段かが、相対的に決まってくるわけです。

 自分が常に意欲的になって、ある1つの目的を達成した後、次の新たな目的を掲げ続ける限り、この目的・手段の入れ替わりはどこまでも続いていくことになります。このことは逆方向もまた真なりで、何を成したいかという目線が下がってしまっても、やはり目的・手段の入れ替わりが起こります。

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