話を先の暴排条例に戻す。
テレビ局や映画関係者が気にしているのはこういうケースなのだ。条例の適用例が現状ないだけに、「芸能人本人よりも事務所がその筋の人たちの場合はどのように対応していいか分からない」(某局ディレクター)というわけだ。「警視庁に問い合わせしても、具体的な線引きまでは教えてくれないケースが多い」(同)ことも困惑の要因だ。
先に触れたように、意図的に暴力団と付き合い、その威力を背景にするような輩を擁護するつもりはない。ただ、「一部の芸能関係者と暴力団は長年表裏一体の関係にあった」(同)ことも事実。警視庁がどこまで本腰を入れて条例に対応するのか現段階では見えないだけに、コンテンツの制作現場の混乱と困惑が今後しばらく続くことになる。
あくまでも私見だが、暴排条例を徹底運用すると当局側が腹を決めているならば、暴力団傘下の事務所にいることを知らず、真摯(しんし)に活動している俳優やタレントを保護することが先決ではないのか。そののち、彼らが裏社会からと遮断するような仕組みを創り、業界の裏側に潜む勢力を徹底的に浄化する必要があるのではないか。
エンターテインメントを愛する人間の1人として、またコンテンツ制作の末端を担う一員として、同条例の運用の行方を精査していきたい。
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