リコー、ニコン好きには、Macユーザーが多い?遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論(1/3 ページ)

» 2011年10月28日 08時00分 公開
[遠藤諭,アスキー総合研究所]
アスキー総研

「遠藤諭の『コンテンツ消費とデジタル』論」とは?

 アスキー総合研究所所長の遠藤諭氏が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。

 本記事は、アスキー総合研究所の所長コラム「0(ゼロ)グラムへようこそ」に2011年10月21日に掲載されたコラムを、加筆修正したものです。遠藤氏の最新コラムはアスキー総合研究所で読むことができます。


 「ミラーレス一眼」が売れている。レンズから入った光を、鏡を介してファインダーからのぞく「一眼レフ」に対して、撮像素子が捉えた絵をそのまま液晶で見る。レンズを交換していろんな視点で世の中を見られるという一眼レフの魅力は引き継いでいる。

 2008年の、パナソニックの「LUMIX DMC-G1」から始まるミラーレス一眼だが、販売台数ではレンズ交換式カメラの3割を占めるまでになっている。もっとも、私のまわりでは、ミラーレスを買う人はもっと多い印象がある。ブランドと機能とデザインのバランスの上に立っている商品だけに、この変化、ちょっと興味深い。

 同様に一眼レフの世界を大きく変えたモノいえば、私にとって最も印象的なのは、まだ銀塩の時代の「EOS Kiss」である。それまで、一眼レフといえば、プロの仕事の道具かオヤジの趣味の世界に限られていた。ところが、そのテレビコマーシャルを見たとたん、私は、イスから転げ落ちそうになった。

 無骨な一眼レフを、若い母親が慣れない手つきで持っていて、ファインダーを通して赤ちゃんを撮っている。この風景に最初は違和感があるが、事情はすぐに了解できる。愛しているものをまじまじと見ている自分がいて、その時間を切り取って証にしたいという気持ちが、そのまま「Kiss」という商品になった。

 「Kiss」の意味は、「Keep It Smart and Silent」(賢く、静かに)の意味だそうだから、赤ちゃん撮影専用カメラとはいえない(海外ではKissという商品名は冠しておらず、米国では「EOS REBEL XS」、欧州では「EOS 500」)。しかし、技術特性を生かしたその商品提案力には感服するしかなかった。しかも、それが完璧にコマーシャルとリンクしていたのだ。

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