サイクロンの特徴は、複雑な形状だが極めて単純な構造なこと。シリンダーヘッドのようなトップ、内側の12連のサイクロン、フィルター、そして外側のサイクロン=クリアビン。これだけなのだ。
大きなゴミは遠心力で透明なクリアビンに落ちる。だが、微小なチリは落ちずに“上っていく”。この動きを利用して、エアと一緒に上ろうとする微小なゴミを途中のフィルターで捕えてビンに落とす。エアだけが内側サイクロンに上っていく。ダイソン氏が製材所のおがくずを分離させるサイロを見て発想し、5年間で5127台の試作を経て実現した構造はユニークでシンプル。偉大な革新とは常にそういうものだ。
最後に車輪とモーターの本体へ移る。DC36の大きなウリはこの『ボールエンジニアリング』。球体部に車輪・モーター・電源コードが収納され、引っ張っても押してもひっくり返らないという。試してみると、おお、ちゃんと付いてくる。
その秘密はボール部の大きなローラーにあるが、それだけではない。手前の小さな両輪がスタビライザーとなり、ホースの角度を柔軟に受けとめる連結部は、ホースのひねりを安定させる。掃除する人の動きを突き詰めてそれをハード設計に落としている。
感動のあまり、あらぬところにビスを留めたせいでボール部のフタが閉じなくなった(笑)。「ああっ!」と思っていると直してくれた。説明を聞きつつ、抜け目なく写真も撮った。まあ、負け惜しみくさいが(笑)。
私はすっかりダイソン・テクノロジーに吸い込まれた。その良さとは何だろうか?
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