手仕舞いの売り買いが中心で方向感に乏しい展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年11月25日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国市場は休場、欧州市場も軟調ながらもはっきりとしない相場で、日本市場も売り先行で始まったものの方向感に乏しく昨日の終値水準で小動きとなりました。これだけ手掛かりに乏しく、方向感の無い相場となると打つ手も無いということで手仕舞いの売り買い、持高調整の売り買いだけというような相場となりました。指数が安値更新となるなかで幕間つなぎ的に買われていた低位株の中には手仕舞い売りに押されるものも多く、値動きだけをみての売り買いが多かったようです。

 クリスマス商戦の始まる週末ということもあり、値動きの良かった銘柄に手仕舞い売りに押されるものが目立ちました。指数は欧州金融不安や世界的な景気鈍化懸念で年初来安値を試す動きとなっているのですが、そうした懸念材料に反応しているというよりは目先の値動きに反応しているものが多いような気がします。値上がり銘柄や値下がり銘柄を確認しても、特に材料が出ているわけでもなく大きく買われたり、大きく売られたりすることも多くなっています。

 材料のないなかで大きな動きとなる理由の一つは売り買いともに少ないなかで一段と売買高が少ない銘柄などがちょっとした売り買いに大きく振らされているというケースと、売買高が少なく、値動きが少ないので値動きの良い銘柄を物色する動きが集中するということもあると思われます。何度もこのコラムでも述べてきているのですが、市場参加者の広がりがまったまったくみられないということ、そして銀行や企業の「不良債権」「不良資産」は引当金などを積んで処理することができるのですが、個人投資家の塩漬け株が処理しきれていないということも株式市場低迷、市場参加者が増えないという理由なのでしょう。

 売買手数料の引き下げ競争をするだけでなく、もっと株式市場に参加するために規制を緩めるというような施策も必要なのではないかと思います。規制を強化するばかりでなく、例えば手口情報のリアルタイムの開示だとか、大口注文の開示などがあっても面白いのではないかと思います。取引所も売買スピードばかりを追うのではなく、もっと個人投資家のスローな投資にも対処できるようなVWAP取引とか、いろいろと考えてみてもいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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