なぜ日本企業は海外で苦戦するのか? “ツーステップ方式”の限界ちきりんの“社会派”で行こう!(2/3 ページ)

» 2011年11月28日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

海外進出、2つの考え方の違い

 “ワンステップ方式”の海外市場進出とは……。

 そのメーカーが商品開発会議を行う際、メンバーに配られる検討資料に「当該商品の市場規模」が載っています。そこには北米●億円、欧州●億円、アジア●億円、南米●億円とあり、世界の市場規模が明記されているのです。

 資料の2ページ目には「競合分析」が載っています。そこには、日本企業A社、米国企業B社、英国企業C社と自社の主力商品名と、最近の市場シェアの推移が載っています。それらは地域ごとに分析され、どの企業が南米で強い、どこは欧州でどんな売り方をしている、などが分かるようになっています。

 3ページ目は「顧客分析」で、それぞれの地域の顧客のセグメンテーションの特徴が書いてあります。最近の南米での顧客の好み、為替が影響を与えているユーロ圏での購買行動の変化……などが説明してあります。

 こういう資料を使って商品企画会議を開いている会社を「ワンステップ方式」の会社と呼びます。彼らは最初から、新商品を世界中で売ることを当然のこととして念頭に置いています。そのために必要な商品スペックや価格帯、売り方、ネーミングなどを検討する会議が「商品企画会議」なのです。

 これとは別に“ツーステップ方式”を採る企業があります。

 そこで商品企画会議の資料に載っている市場規模は、もちろん「日本市場」の規模です。資料の2ページ目の競合分析に出てくるのも「日本市場で商品を売っている企業の一覧」です。3ページ目の顧客分析も「日本人の購買行動の変化」についての分析です。

 そして数年後の海外部門の会議。メンバーの手元にある資料には「●●商品の海外展開に関する検討資料」というタイトルが付いています。「日本でヒットした商品が海外でも売れないか?」を検討するための会議が開かれるのです。

 配られる資料にはもちろん「進出しようと考えている国の市場規模」や「顧客ニーズの分析」が掲載されています。

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