缶コーヒーに抹茶を「ちょい足し」した理由――ジョージアクロス 和-STYLE(1/2 ページ)

» 2011年12月01日 11時00分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 たくさんの飲料メーカーがしのぎを削る缶コーヒー市場。さまざまなブランドが林立し、その中でたくさんの新商品が生まれ、他製品との差別化を図っている。味の違いや、CMに人気タレントを起用する、飲む時間帯やシーンを訴求する(参照記事)などが、差別化を図るポイントだ。

 缶コーヒーの場合、基本的な味の要素は「コーヒー」「ミルク」「砂糖」。味の差別化は、無糖・微糖やミルクの有無といった程度しかできない……というのが常識だったが、「抹茶を足す」という予想外の商品が登場した。コカ・コーラシステムが11月14日に発売した「ジョージアクロス 和-STYLE」である。

ジョージアクロス 和-STYLE

若い世代を新たな缶コーヒーユーザーとして獲得したい

 日本コカ・コーラの「ジョージア」は、1975年発売の老舗ブランドだ。「ジョージアクロス」は、ジョージアのサブブランドという位置づけになっている。「クロス」という名の通り、これまでになかった価値を缶コーヒーに掛け合わせる(=クロスする)ことで、新しい缶コーヒーの形を提案していく、というコンセプトだという。

 ジョージアクロスシリーズの第1弾となるのが、「ジョージアクロス 和-STYLE」。2種類のブラジル産コーヒー豆に北海道産の生クリームを加え、京都の宇治抹茶を掛け合わせたという製品だ。パッケージは、コーヒーの味をイメージしたブラウンと抹茶をイメージしたグリーンを基調に、京都の石庭を想起させる並のようなデザインを採用した。

 ネットで反応を見ると「おいしい」「まずい」と賛否両論。なぜこのようなチャレンジングな製品を発売したのか、日本コカ・コーラ コーヒー&ジュースカテゴリー ジョージアグループ シニアマネジャーの島岡芳和氏に尋ねた。

日本コカ・コーラ コーヒー&ジュースカテゴリー ジョージアグループ シニアマネジャー、島岡芳和氏

――「ジョージアクロス」の開発の経緯を教えてください。

島岡 現在の缶コーヒーのマーケットには、若い世代を新たなユーザーとして獲得しなければならないという課題があります。缶コーヒーは何十年も前からある商品ですが、当時20歳代くらいから飲み始めた人たちが年齢を重ねてきたことで、今では主要な消費者の年齢層が少しずつ上がってきています。少子高齢化で若い人の人口が減少している中で、効率的に若い世代をリクルートすることは、缶コーヒー全体のマーケットを拡大し、新たな将来のコアユーザーを育てていく上で、とても重要なことです。それはジョージアだけでなく、缶コーヒーマーケット全体の課題と思っていましたので、そこにチャレンジできる商品コンセプトが必要だと考えていました。

――なぜジョージアクロスは「缶コーヒーに何かをちょい足し」という商品コンセプトになったのでしょう?

島岡 若い世代へのアプローチ方法を探るべく、若者(特に20代)の生活様式を見ていったときに、特徴的だったことが2つあります。1つは、「既存のモノやサービスを自分なりにちょっとカスタマイズ」してみること。自分のこだわりをうまく楽しんでいる人が多いんですね。それに伴い、企業が提供していくモノやサービスも、今ある価値は大事にしつつも、どんどんチャレンジをして、新たな価値を生み出すブランドに好感を持っているということが、マーケット分析で見えてきました。2つ目の特徴として、若い人が日本への懐古やプライドを大事にし始めてきているということが分かりました。震災以降、「自分が日本に対して何かできないか」とか、「日本の文化をもっと大事にしていこう」という考え方が、若い人の間にも広く浸透してきています。これら2つのトレンドを缶コーヒーの世界にうまく取り入れていくことで、今までの缶コーヒーとは「ちょっと違う」、今の若者のライフスタイルに合わせたメッセージが発信できる、そして缶コーヒーを飲んでいなかった人たちにも、新しい興味を持って受け入れてもらえるのではないかと考えました。これが、ジョージアが若い世代に発信していく、『ちょっと違うとかなりイイ』という今回のクリエイティブコピーの原点であり、また商品コンセプトに込めた思いです。

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