大阪の未来はバラ色か? 橋下市長にふりかかる困難ちきりん×中田宏、政治家を殺したのは誰か(特別編・前編)(1/5 ページ)

» 2011年12月27日 08時03分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

2人のプロフィール:

ちきりん

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN

 →Chikirinの日記

 →中田宏さんと対談しました!(Chikirinの日記)

中田宏(なかた・ひろし)

衆議院議員(3期)を経て、平成14年に横浜市長に就任し2期務める。横浜市の累積借入金を約1兆円純減、ごみ排出量40%削減、市営地下鉄、市営バス、水道局の黒字化など数々の改革を通し市財政を再建。現在、青山学院大学院などの客員教授を務めながら、全国各地での講演活動や本の執筆など多方面で活躍中。

2011年10月に発売された政治の利権構造を赤裸々に綴った『政治家の殺し方』(幻冬舎)は、AMAZONのベストセラー1位を獲得するなど好評を博している。


 人気ブロガーのちきりんさんと、前横浜市長で大阪市の区政改革のまとめ役に就任することになった中田宏さん。この2人の対談連載が、Business Media 誠でスタートする。

 活躍の舞台が大阪に変わった中田氏は今、何を考えているのだろうか。横浜市で経験したこと、そして大阪市の未来を語った。

「大阪都構想」について

ちきりんさん

ちきりん:11月27日に行なわれた大阪の府知事選、市長選のW選挙では、橋下徹さん陣営が大勝利しました。橋下さんとは以前からお話をされていたと思いますし、一時メディアでは「中田宏さん、副市長か」といった見出しも出ていましたけれど、副市長になられるおつもりはありますか?

中田:橋下さんとは、これまでも協力し合ってきましたし、これからも力を合わせていこうと思っています。いろいろ検討する中で、副市長というのもありましたが、一番効果的な立場は何かということを話し合って、大阪市の顧問、アドバイザーとして主に都構想実現に向けた組織改編などを手がけていくことになりました。

ちきりん:そうですか。確かにあれだけ大きな組織変革を実現するには、中田さんのように地方行政の裏も表も熟知された方がアドバイザーになられるのは心強いですよね。ところで橋下さんが掲げている「大阪都構想」についてはどのように思われていますか? 全面的に同じ考えなのでしょうか?

中田:私は、大阪府と大阪市を1つにするということに賛成です。二重行政を改めるということで「大阪市を特別市にする」という考えもあるのですが、これは制度設計をイチからやらなければいけません。既に存在している都制度を使うというのは、パーフェクトではないかもしれませんが、現実的な手法ということになるでしょう。

 先のW選挙で、民意は「大阪都構想」について「進めるべきだ」という意思表示をしたわけです。ただ、投票行動に大きな影響を与えたのは、2009年に行われた総選挙と同じように「とにかく今の体制を変えたい」という、現体制に対する批判心理があったのではないでしょうか。

 2009年の総選挙では、自民党と民主党を比較して「民主党の出している政策は素晴らしい」という人は少数派でした。全体としては「自民党政治は一度終わりにして、政権交代することによって新たなモノを見てみたい」という人のほうが多かった。こうした傾向は各社の世論調査でもうかがえました。

 大阪のW選挙でも、同じ傾向だったと思っています。全体としては「まずは変えてみようよ」という流れが強い。ただ、橋下さんは明確に「府と市を一体にして大阪都にする」と問うていたので、大阪都については「ゴーサイン」になったことは間違いありません。

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