慎重な見通しの発表で売られるもQE3期待や買い戻しもあって、まちまちの展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2012年01月30日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8841.22▼8.25

<TOPIX>761.13▼3.48

<NYダウ>12660.46▼74.17

<NASDAQ>2816.55△11.27

<NY為替>76.69▼1.07

予想を下回るGDPや決算、慎重な見通しの発表で売られるもQE3期待や買い戻しもあって、まちまちの展開

 欧州金融不安は一段落となったものの、朝方発表されたGDP(国内総生産)や自動車メーカー、石油メジャーなどの決算が予想を下回ったこと、消費財メーカーが利益見通しを引き下げたことから売り先行となり、週末の手仕舞い売りも嵩んで軟調となりました。ただ、値ごろ感からの買戻しやQE3(量的緩和)に期待する向きもあって買いが入りダウ平均は下げ幅縮小、ナスダック指数は堅調な展開となりました。目先的な過熱感もあるものの、景況感は悪くなく、企業業績も好調なものもみられるなかで、QE3に対する期待も強まり、底堅い展開となりました。

 欧州金融不安からの世界的な景気鈍化懸念が薄れる一方で、景気が悪くなるようであればQE3に期待するというような雰囲気になっています。少なくとも大きく景気が落ち込むことは防げるのではないかとみられ、芳しくない決算がみられても売り急ぐ展開にはならず、他の銘柄などへの波及も限られています。目先的には過熱感もあり、調整もあると思われますがセンチメントも上向いており、大きく調整するというよりは上値の重いというような展開ではないかと思います。

 個別には決算発表に反応するものが多く、予想を下回る決算となったフォード・モーターが大幅安、シェブロンも軟調となり、収益見通しを引き下げたプロクター・アンド・ギャンブル、通期の利益見通しが予想を下回ったスターバックスも売られました。SNS(交流サイト)のフェイスブックが上場申請をするとのニュースに反応して関連銘柄としてリンクトインやグーグルなどが買われ、ヤフーやアップルも買われるなどハイテク銘柄に高いものがみられました。手仕舞い売りに押されるものも多く、インテルやIBMは小幅安、バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースも軟調となりました。原油価格が軟調となったことやシェブロンに連れてエクソン・モービルも軟調、金先物価格は堅調となったことでパブリック・ゴールドやニューモント・マイニングは堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株安や円高にしては底堅い動きでしたが為替に振らされながら軟調、小幅安となりました。週末の持ち高調整の売り買いが交錯、売買場高はそこそこでき、前場の引け際や後場の寄り付き直後などに動きもみられましたが、通してみると結局、寄り付きと引けがほぼ同じ、大きな動きはなかったという感じでした。決算動向などに反応する動きもあるのですが、それよりもまだ目先の需給に振らされ、為替に振らされることが多いということだと思います。

 先週末の米国市場はまちまちとなり、ユーロも落ち着いていたのですが、米ドルが売られ連れて総じて円高となったことから日本市場は底堅いながらも軟調な展開となりそうです。決算発表も続々と行われてきますが、円高の影響などで芳しくない決算を発表するものも多く、円高が止まらないようであれば下値を試すような動きも出てくると思います。米国でQE3(量的緩和)に対する期待も根強く、世界的な景気鈍化懸念が強まっているわけでもないのですが、ハイテク銘柄や自動車株など輸出関連銘柄は円高の影響が嫌気されるのでしょう。幕間つなぎ的に引き続き、為替の影響の少ない銘柄、インターネット関連や復興関連が物色されることになりそうです。

 日経平均は改めて8800円〜900円水準での上値の重さを確認することになりそうです。円高の影響で積極的に買い切れず、買戻し一巡感もあって少なくとも上値は重そうです。抜本的に円安になる対策が出るということもなさそうですし、米ドルや豪ドルなどに対して大きく円高が進むということであれば、下値の節目である8500円〜600円水準を試すことになりそうです。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.