売り先行となったものの、ギリシャ問題進展の期待から下げ幅縮小清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2012年01月31日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8793.05▼48.17

<TOPIX>757.01▼4.12

<NYダウ>12653.72▼6.74

<NASDAQ>2811.94▼4.61

<NY為替>76.34▼0.35

欧州を巡る混乱が続いていることから売り先行となったものの、ギリシャ問題進展の期待から下げ幅縮小

 週明けの米国市場は、独財務相のギリシャ支援をしないとの発言、ギリシャ財政権限委譲を求めるとの発言や中国で金融緩和がなかったこと、また、仏のVAT(付加価値税)引き上げなどの問題やポルトガル国債の利回り上昇など懸念材料が噴出、手仕舞い売りが嵩んで売り先行となりました。ただ、足元の景況感は決して悪いということもなく、ギリシャ問題も進展しているとの期待もあって買い戻しや買い直しも入り下げ幅縮小となりました。ナスダック指数は堅調となる場面もみられ、市場全体に手仕舞い売りをこなしてしっかりとした雰囲気でした。

 悪材料にも売り急ぐようなこともなく、特に欧州問題に関してはある程度織り込まれているということで落ち着いた対応となっているようです。世界的な景気鈍化懸念が薄れて、改めて押し目での買いも入っているということだと思います。FOMC(公開市場委員会)での金融緩和継続が引き続きセンチメントを好転させているものと思われ、「FRB(連邦準備理事会)が何とかしてくれる」という期待があるうちは底堅さもみられると思います。

 個別には欧州金融不安が強まったことで、バンク・オブ・アメリカが大幅安、JPモルガン・チェースやシティグループも軟調となるなど金融株は総じて安く、原油や金の先物価格も軟調となったことで、エクソン・モービルなどの石油株やパブリック・ゴールドなどの金鉱株も軟調となりました。中国の景気鈍化懸念もあり、キャタピラーが軟調、GE(ゼネラル・エレクトリック)も安くなりましたが、フォード・モーターは売られ過ぎの反動から反発、アップルやIBM、インテルなどのハイテク銘柄も高いものがみられるなど景気敏感株はまちまち、総じて見ると底堅い雰囲気でした。ホーム・デポは軟調となったもののコカ・コーラは小幅高、ウォルマートは堅調、消費関連銘柄もしっかりとした動きになりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は円高を嫌気して売りが先行、底堅さは見られたものの終始冴えない展開となりました。ユーロが軟調となる場面では下値を試すような動きになりましたが外国人も相変わらず株数は売り越し、金額は買い越しと売り買い一方向に偏るようなこともなく、手掛かり難のなか小動きとなりました。持ち高調整の売り買いも大きく偏ることもなく、指数に方向感の見られない展開でした。

 米国市場は底堅い展開となったのですが、再度円高となったことが嫌気されて日本市場は軟調な展開となりそうです。企業業績が続々と発表されるなかでも、円高の影響で芳しくないものが目立ち、円高傾向が止まらないことには先行き懸念から買い手控えとなりそうです。為替の影響の少ない復興関連銘柄やインターネット関連銘柄の値動きの良いものが物色され、指数は引き続き方向感のない展開となりそうです。月末ということで「お化粧買い」なども期待されますが、期待はずれに終わり手仕舞いを急ぐ動きなどが見られると下げ幅を拡大する場面も出てきそうです。

 改めて8800円〜900円水準での上値の重さを確認したような格好です。円安に振れるということでもないと、8800円〜900円水準を抜けるということも難しそうで、逆に円高が進むようであれば、あるいは円高が進むという懸念が強まると下値の節目である8500円〜600円水準を試すことになりそうです。当面は、円高が止まるまでは8800円〜900円水準が上値という状況になってしまいそうで、8000円台後半でのもみ合いがまだまだ続くということでしょう。

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