歴史をさかのぼると、ドイツも1967年と1973年(第一次オイルショック)に石油危機を体験している。第一次オイルショック当時、OPEC(オペック:石油輸出国機構)は原油価格を1バーレル2.90ドルから5.11ドルに値上げし、さらに毎月5%減産すると発表した。パニックに襲われたドイツの消費者はガソリンと灯油の買い溜めに走り、当時のヴィリー・ブラント首相は「戦後の歴史に深く刻まれる危機」と表現している。
しかし当時の状況を分析すると、反応は政治的にも経済的にも行き過ぎであった。通常の年間原油需要3億7000万トンに対し、実際は1200万トン減ったにすぎない。中東に代わる原油輸入先を見つけることができたから、絶対量の不足は幻想でしかなかった。人々の抱いた恐怖感だけがリアルだったことになる。
石油危機が西側諸国の産業構造に与えた影響は大きい。原油の中東依存を脱却するため北海油田やメキシコ湾油田が開発され、燃費のいいクルマの開発、住宅の断熱性能や暖房器具の性能が向上した。
ドイツは省エネや再生可能エネルギー開発の先頭を走っているが、これは今回のような地政学的なエネルギー危機に振り回されない経済を作ることも目的としている。日本に比べ、石油危機に打たれ強い体質作りに成功しているのだ。
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