買い先行となるも上値も限られ方向感に乏しい展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2012年02月06日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 先週末の米国株が予想を上回る雇用の改善がみられたということで大幅高となり、日本市場も買い先行で大幅高となったのですが、何となく上値の重い展開であり、為替も円高気味ということで買い意欲にも乏しく、盛り上がりに欠ける展開となりました。大きく売られるということでもなく、指数の値持ちも良いのですが物色対象も絞り切れず、材料に反応するというよりは目先の値動きの良し悪しで売り買い判断しているような相場全体としての方向感に乏しい展開となりました。寄り付いた後の指数の値幅はとても小さく、積極的に売り買いするには先が読み難いということでしょう。

 米国株はリーマンショック後の高値を更新といわれ、順調な企業業績の回復と消費や雇用の改善がみられます。一方で日本はといえばいまだに円高などを気にして動きがとれず、ついつい弱気になってしまうという展開です。日本のバブル崩壊、と米国のサブプライムバブル崩壊(リーマンショック)後の状況をみても、現在の状況を見ても、米国の回復は金融政策や為替政策などが企業業績の向上に結びつき、企業が「稼ぐ」ことによって雇用が確保され、同時に信用供与が行われて消費が増えるということなのだと思います。

 日本では円高の影響が大きく、企業業績が芳しくなく、好調な決算となっている企業も結局は海外に進出したことで、為替の影響が少なく、好決算となっており、日本での賃金の上昇や雇用の確保が出来るということではないので、一向に景気が良くならないのでしょう。この期に及んでもまだ、政府・日銀は景気浮揚策を打ち出せず、各国のいいなりに円高ということで競争力も落ちているのだと思います。結局、円高の使い道とすれば欧州金融機関のリスクの肩代わりが出来るというにとどまり、日本国内での需要喚起や景気浮揚には結びつかないということでしょう。

 つまり、円高のメリットを生かせず、円高のデメリットは最大限に受けているということで、それこそ何をやっても無駄、ということになってしまうのだと思います。消費税論議も良いですが、コストカットや取れるところから取るということではなく、デフレからの脱却や景気浮揚を考えた政策を打ち出していけば、税収もどんどん増えていくのではないかと思います。それには円高を止めること、デフレを止めることが一番だと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


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