先週末の米国株はまちまち、外国人は売り越しと伝えられたのですが先週末に海外市場で大きく円安が進んだことから買い先行となりました。寄り付きの買いが一巡となった後は上値も重く、方向感に乏しい展開となり、為替が円高気味に振れたこともあって、積極的に買い上がるという動きにはなりませんでした。投資顧問業者の不祥事や上場企業の不祥事なども話題となって、直接的な影響はないものの上値の重い展開は続きました。それでも、基調は大きく変化しており、売り急ぐということもなく、強含みの推移となりました。
日経ボラティリティーインデックス(VI)が上場されるというニュースが出ていました。海外でも同様の指数は上場してされており、「VIが上昇したから株が下がる」などといわれることが多くなっています。ただ、依然にも述べましたが相場というものはどんな相場でも、いったんトレンドが出るとそのトレンドがいつまでも続くもの、というような意識が強く、株式市場でも下がり始めると「どこまでも下がる」と思い、為替でも円高傾向が続くと「いつまでも円高が続くもの」という見方になってしまうのです。
ですから、VIでも上昇したから株価が下がる、というのではなく、株価が下がったからVIが上昇したということなのだと思います。そして、相場のトレンドに変化が出るときはそうしたVIなどにみられるように「行きすぎ」ということが起こり、下がるから売る、売るから下がるという状況で底値を付け、買うから上がる、上がるから買うということで天井となることが多いのです。そしてトレンドが変化する時には、まだ下がるだろうと思って、反発となるとすぐに売りに出る、まだ上がるだろうと思って、下落の始まりを「押し目」と間違えて買いにでてしまったりということが多いのです。
トレンドをしっかりと見極めたときがもう次のトレンドが終わっていたというのではしっかりとトレンドを見極めたことにならず、トレンドをしっかりと見極めれば下落の始まりは押し目なのか見えてくるのだと思います。そして、間違えてしまった時には、自分の見方に固執することなく、しっかりともう一度トレンドを見つけるということで対処できると思います。トレンドの変化時に間違えても「たいしたことはない」のですが、トレンドを間違えたことに気が付かないと大きな損失につながってしまいます。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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