非モテ男、電源ガールに出会う【出会い編】プリウスPHVでモテる?(3/3 ページ)

» 2012年03月14日 08時00分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
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 「じゃあ、電気自動車は? 日産のリーフとか三菱のi-MiEVとか、うちの記事でもよく載ってるけれど」

 「電気自動車は逆に、電気を外から充電して走る車で、ガソリンを給油することはできないの。さっきの説明でいくと、電気で動くモーター用の充電池は積んでいるけど、ガソリンエンジンは積んでいないから。こちらは低速から高速まですべて電気で走るので、ガソリンは使いません。ホリウチくんのまわりに、『電気自動車に普段から乗ってます、マイカーは電気自動車です』っていう人、いる?」

 「うーん、いないんじゃないかな……」

 「でしょ。電気自動車はクリーンだし、静かだけど、まだ普及には課題も多いのよ。なんといっても、ガソリンが使えないのは困っちゃう」

 「どうして? 電気で走るなら充電しながら走ればいいじゃん」

 電源ガールはフフンと鼻で笑った。「充電コードをつないだまま走るわけにいかないでしょ? 充電してるあいだはどこかで止まってなくちゃ。たとえば今、100Vの電源を借りて充電してるってことは、フル充電まで大体3時間かかると思うんだけど……」

 「ちょっ! 3時間ここで充電するってこと?」「うん。だめ?」「……いや、ダメとは……」「じゃあ充電させて(キッパリ)。3時間充電するってことは、3時間ここに停めて、待ってなくちゃいけないってことでしょ。今はいいけど、どこか遠出の途中でそんなことになったら、困っちゃうじゃない。ガソリンスタンドなら10分くらいで給油できるのに、充電施設に3時間停めて、その間何してる? ドライブの間3時間の待ち時間って、相当大変よ」「そうだねえ。ソーシャルゲームをやるとか、チャットでお話するとか……」「なにそれ、そんなんで時間つぶすの、わたし嫌だもん」「……」

 「まあ、このクルマは200Vなら1時間半で充電できるし、電気自動車は急速充電できるものも多いんだけどね。……ともあれ、そんなわけで、ハイブリッドカーと電気自動車のいいとこどりをしたクルマが『プラグインハイブリッド(PHV)』と呼ばれているクルマなの。まさにこれ、『プリウスPHV』のことよ」「ぷりうすぷらぐいんっぴーえいちぶい……?」

 女の子はプリウスPHVの充電口に近寄ると、ホリウチくんを手招きした。「見て、ここ。クルマの右側後方に、充電口があるでしょ?家庭用電源で、100Vでも200Vでも充電できるの。つまり『プラグイン』ってこと」「プラグイン?」

プリウスPHVは、右側後方に充電口がある。ちなみに反対側はガソリン給油口
トランクルームに収められている充電キット(左)。100V用と200V用でアタッチメントを付け替える(形状は同じ、右)

 「さっきも説明したとおり、ハイブリッドカーにはモーターがあるけど、基本的にはガソリンを給油してエンジンが動く。これだと普通のクルマと同じよね?」「うん」

 「『プラグインハイブリッド』は、プラグイン、つまり外部からの充電もできるハイブリッドカー、ってことなの。ハイブリッドカーだからガソリンスタンドでガソリンを給油しても走れるし、自宅で充電プラグを差し込んで電気を充電すれば、電気自動車のようにも走れる。ガソリンエンジンと電気のモーターが両方入っていて、ガソリン車としても電気自動車としても走れる……そういう、ハイブリッドカーと電気自動車のいいとこ取りをしたのが『プリウスPHV』なのよ」

 「なるほど……」

 ホリウチくんが分かったような分からないような顔をしていると、電源ガールは「ふわわ」と大きなあくびをした。「眠くなって来ちゃった。充電してる間、私クルマの中で寝てるね。おやすみなさい」「え、クルマの中で寝るの?」

 「うん、充電終わったら起きるから大丈夫よ。じゃあ、電気もらった御礼に、充電終わったらどこかドライブでも行こうか?」「え? ホント? いいの?」「嫌なら別にいいけど……」「嫌じゃないです! 行きます!」

 かくしてホリウチくんは、充電が終わったあとで電源ガールとのデートを取り付けたのであった。(続く

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