アップルは発売日まで新製品を隠そうとする……なぜインサイド・アップル(2)(3/3 ページ)

» 2012年03月16日 08時00分 公開
[アダム・ラシンスキー,Business Media 誠]
前のページへ 1|2|3       
インサイド・アップル』(早川書房)

 2011年、ビアンキーニはTEDカンファレンス(カリフォルニア州ロングビーチで毎年開かれる、テクノロジー業界向けの講演会)に出席したあとで、部外者から見たアップルの印象を語った。

 「今年のTEDで気づいたのは、アップルの社員がシリコンバレーの生態系のなかで循環していないということ。誰もアップル社員を知らないの。インターネット業界で働く人たちはみんな互いに知り合いだけど、アップルはアップルだけの世界で生きている。社内では誰もが話をするのを怖がっているから、似たもの同士で交流するほうが楽なのね」

 アップルの従業員たちと定期的にポーカーをしているシリコンバレーのエンジニアがいる。そこでの合意は、アップルの誰かがカードテーブルについたら話題を変えることだ。おしゃべりで解雇される会社だから心配するのも無理はない。たとえば、製品の発売に関係したイベントにたずさわる社員は、透かし入りの紙に印刷された「交通規則」と呼ばれる冊子を渡される。発売日までのマイルストーンがひとつずつ細かく説明してあるその冊子には、法律事項がひとつのっていて、誰の目にも明らかなメッセージを伝えている──

 「この冊子を不適切な相手に渡した者は解雇する」 (翻訳:依田卓巳)

(続く)

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.