丸の内iiyo!!から見えてきた“東京ハシゴタウン”構想郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

» 2012年03月22日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

「一緒でいいよ」はどこでもできる

 この「一緒に食べようね」は、ほかの施設でも応用可能。例えば、デパチカのイートインスペースの店同士で、「私はスイーツ」「アタシは宇治金時」「僕はコロッケ」ができる。ショッピングモールでは「オレはハンバーガー」「アタシはタイカレー」ができそう。そういえばクラブやスナックでも「ラーメンの出前」なんてサービスは普通にある。

 隣の店舗をヤドカリして、お客さんの多様なニーズに応える。これはお客さんが店をハシゴする効果も生むだろう。ヤドカリとハシゴで店舗集積が栄え、地域が栄えるならうれしい。

 というのも今、東京の商業施設はどこも飽和状態。この春、ユニクロを核とする銀座コマツ東・西館がオープンし、お台場のダイバーシティ東京も4月19日スタート、5月には今年最大の目玉、東京スカイツリーがやってくる。飲食施設も物販もラッシュで飽和気味。大型店、大型モールは集客力があるとはいえ、それでも競合は熾烈(しれつ)。もちろん小さな商店街はますますキツい。

 今、商業開発は曲がり角にある。過去半世紀をプレイバックしよう。

もう限界……商業施設は飽和している

 “エキウエ”の百貨店の核テナント時代からスーパーマーケットの時代へ、街の核店舗GMSが現れ、さらに郊外へと巨大モールが延びた。やがて核テナント一本足打法では勝負がつかず、シネコン併設、専門店街のプロデュース力が勝負になった。デベロッパーは、個性ある店舗を自前で育成して施設内での差別化も図る。新三郷のように核テナント(IKEA、COSTCO、Loft、ニトリなど)を複数誘致して、立地内回遊&施設を競合させる開発も出てきた。

 中心部対商店街、都市対郊外の競合から、街対街、街区対街区の競合へ移ってきた。丸の内対銀座、表参道対六本木など顧客の奪い合いなのである。だが、いがみあっても縮む需要、同じ財布の取り合いでは限界あり。どうすればいいか?

 それなら、東京を1つの商業空間に見立てて“東京ハシゴタウン”を作ってはどうか。街と街をつないで気持ちよく回遊してもらおう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.