「関越道バス事故」と「中国の観光バス事故」の共通点窪田順生の時事日想(2/3 ページ)

» 2012年05月08日 08時02分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

 そんな事実が明らかになると、マスコミは「異常な業務実態が浮き彫りになった」と驚いているが、日本人のモノサシではかるから「異常」にみえるだけで、中国国内で観光ビジネスをしている者と思えば、さして驚くこともでない。

 例えば、先ほど13人の死者を出したドライバーは事故直後、「居眠りをしていた」と過労をイメージさせるような供述をしたが、河野化山容疑者同様に調べていくと、驚くような事実が発覚する。なんと、前夜は飲み歩いていただけでなく、麻薬まで吸っていたのだ。

 さらに日本中が悲しみに暮れていた5月1日には、寧夏回族(ねいかかいぞく)自治区で17人乗りのバスに23人が乗り込んでタイヤがパンク、やはり対向車線に飛び出して18人が亡くなっている。

第二、第三の河野化山に「日本の安全ルール」を叩き込む

 断っておくが、なにも中国人の運転が信用できないとか、いい加減だとか批判をしたいわけではない。

 このようなケースから分かるように、日本では安全面で「アウト」のことが、中国では「セーフ」としてスルーされることが多い。

 河野容疑者は今回の運転を「アルバイト」と述べ、バス運行会社から「名義貸し」を受けていたが、違法だと認識したうえでスルーしていた。日本では完全に「アウト」だが、彼のモノサシでは「セーフ」だったのだろう。

 某ワイドショーの司会者は事故のニュースを終わりに、河野容疑者についてこんな言葉で締めくくった。

 「中国から出て言葉もしゃべれないような状況の中から一生懸命努力をして、やっとつかんだドライバーの仕事だったと思うんだよね」

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