マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など。中小企業診断士。ブログ「cotoba」
東京スカイツリーには過去半世紀への感謝と、未来のとんがりへの期待がこめられている。
開業前の5月18日、ひと足先に『東京ソラマチ』のプレスデー(内覧会)に行ってきた。312店が入るソラマチは、“新しい下町”がコンセプト。「ツリーのふもとの商業施設でしょ」なんてあなどれない。思いきった店舗誘致も多い。
東武鉄道伊勢崎線「とうきょうスカイツリー駅」寄りのウエストヤードは低層棟。そこにはカフェや雑貨店、生鮮食品店、レストランや水族館が入る。
京成電鉄と都営地下鉄、東京メトロと東武鉄道が共同で使う「押上駅(スカイツリー前)」寄りのイーストヤードには、ソラマチ商店街、ファッション店、ジャパンスーベニア、レストラン、そしてプラネタリウムが入る。
真ん中のタワーヤードには、スイーツとファッション雑貨のお店やスカイアリーナがあり、ツリーがそびえる。
ひととおり巡ってみた感想は「ソラマチ+オノボリで完結する観光コンテンツ」。運営者の東武グループは2000万人を越える入場者をもくろむが、軽く達成できそうだ。以前、「地域への波及効果が心配だ」と書いたが(「“のぼらない”のも粋? 東京スカイツリーの楽しみ方」)、その不安は的中するかも。
さて、ソラマチのまわりには、開業前なのにワクワクするシニアが大勢いる。知人のKさん(60代男性)はニコニコ顔でこう語った。
「郷さん、開業3日目の24日にツリーに登れるチケットが当たったんだ」
インターネットのアクセス集中の中、第9希望まで入力して射止めた入場券に喜び爆発。「そこまで嬉しいの?」とハテナのワケを探しにソラマチを歩きだした。
押上駅口からイーストヤードの「ソラマチ商店街」へ入る。そこはまさに“商店街”だ。みちくさ餅にクレープやカフェ、ドラッグストアやタコ焼き屋、仕立てシャツ屋に花屋、カレーにセレクトショップ、そしてファストフードでしめくくり。雑多さと猥雑さが絶妙な構成なのだ。これには感動した。
2階はウエストヤードがおもしろい。「二木の菓子」や「まい泉」(とんかつ)さらに「北野エース」(グロサリー)や「魚寅」(錦糸町の魚屋)――肉屋、魚屋、青果店など、ここも下町商店街の雰囲気たっぷり。一方、イーストヤード側では、ビームスが手がけるカフェ「レムソンズ」のタッチ式次世代自販機がおもしろい。
ごちゃごちゃ感は、3階から4階にかけても続く。「まめぐい」(和雑貨)の染布など和テイストもいっぱい。「塩屋(マースヤー)」(塩の専門店)のような自然派路線もある。
2階にあるハンドドリップのカフェ「ビーアグッドネイバー」は、“よきお隣さんになろう”という意味。商店街の人情がそこかしこにあり、イマどきと未来が一緒に楽しめるモールである。恐るべし東武グループの底力。総力を挙げた施設構成に脱帽である。
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