駅ナカビジネスは好調だが、問題もあるどうなる? 鉄道の未来(4)(2/6 ページ)

» 2012年05月23日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

大塚:確かに。今の駅ナカはひとり勝ちのようになってきていますので、JR東日本が駅ナカでの物販に邁進する一方で、東日本大震災後に駅のシャッターを一方的に閉めて利用客を追い出したようにホスピタリティーに欠ける行為が繰り返されるようであれば、これを問題視した石原都知事や沿線利用者らの反感を買って課税を強化されるかもしれませんね(笑)。

 駅ナカビジネスで、大いに心配していることがあります。それは駅の近くにある経済を疲弊させていること。すでに批判の声も出ているので、今後は駅ナカだけで独り占めをするのではなく、周辺の経済にもお金を回していくシステムを構築しなければいけないでしょうね。

杉山:駅ナカに本屋があれば、駅周辺にある本屋はなかなか売れない。

大塚:例えば駅ナカで商品を買えば、クーポンがもらえる。そのクーポンを使えば、駅の近くにある商店街で安く買えるようにするのもひとつの方法でしょう。駅と地域がタイアップをして、地元経済を活性化する必要があるのではないでしょうか。

杉山:渋谷にある「109」ではオープンする際に、地元にあったお店にテナントに入ってもらった。渋谷にあったお店が共同で土地やお金を出し合って、“みんなで入ろう”という形でスタートしました。

 国鉄時代の駅ビル文化というのは、もともと「109」のような形なんですよ。商店街の人たちが「地元の駅の玄関をかっこよくしよう」「テナントとして入れるようにしよう」といった動きがありました。国鉄は戦後復興の中で、駅舎を整備するときに、地元と共同でビルを建てた。国鉄は箱を貸すだけで、テナント経営は駅ビル運営会社が仕切って、地元の商店が入れるようにした。

 しかしJRになって以降はJRグループの商業事業となってデパート化が進み、主旨が大きく変化していきましたね。有名ブランドや大手量販店チェーンが入店しています。ルミネ有楽町店は有楽町西武だったところにオープンして、もはや駅の外です。

駅ナカだけで独り占めをするのではなく、周辺の経済にもお金を回していくシステムを構築しなければいけない

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