菊地直子容疑者の潜伏先はオウムが“山”を買いにきた土地だった窪田順生の時事日想(1/3 ページ)

» 2012年06月05日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 オウム真理教の菊地直子容疑者が逮捕された。

 サッカーのワールドカップ予選を観ていたら、ニュース速報が流れてビックリしたという人も多いのではないか。かく言う筆者もそんな1人だ。

 翌日、八王子まで行く用事があったので、少し足をのばして、菊地容疑者が住んでいたという神奈川県相模原市の現場へ行ってみた。テレビで見たあのハンパじゃないボロい家をひと目見てみたいという気持ちもあった。

 彼女が男性と暮らしていた家は津久井湖の近くだ。

 このあたりは十数年前、女子高生が父親をバットで殴り殺すといういたましい事件の取材で駆けずりまわったことがあるが、かなりのどかな感じで、不審な“よそ者”がいればかえって目立つ。「何で平田信被告みたいな都市部のマンションなんかじゃないのかしら」という素朴な疑問もあった。

 現場周辺に到着すると、警察官やらマスコミやらでごった返して大渋滞も発生していた。至るところで、ワイシャツの腕まくりをした記者がハンカチで額の汗をぬぐいながらご近所の人たちに聞き込みをしていた。“地取り”というやつで、記者のころは死ぬほどやらされた。

 お目当てのボロい家に向かおうとしたら、家宅捜索の真っ最中で、規制線がビっと引かれて近付けない。仕方がないので、メシでも食って帰るかと、現場から少し離れた食堂に入ったら、そこのおかみさんと地元のお客さんから興味深い話を耳にした。

 「今ちょうど、お客さんと、何でこんな場所に隠れていたんだろうねって話をしていて思い出したんですけどね……実は昔、このあたりにオウムが施設を作ろうとやって来たことがあったんですよ」

菊地容疑者が住んでいた家
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