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» 2012年06月28日 08時00分 公開

伊吹太歩の世界の歩き方:人権派の人殺し、本当は怖いオバマ大統領 (2/3)

[伊吹太歩,Business Media 誠]

バージニア州から無人攻撃機で爆撃

伊吹太歩 無人攻撃機プレデター(出典:米国防総省)

 オバマのゴーサインが出れば、殺害作戦は無人攻撃機で行われる。今、米国の対テロ戦争などの最前線で使われ、これからの戦争の形を変えるとも言われる無人機だ。

 無人というだけあってパイロットのいない遠隔操作の攻撃機で、ビデオカメラやミサイルを搭載する。いろいろな形があるが、対テロ戦争で多く使われるのは例えば、ヘルファイアミサイルを搭載したプレデター型だ。偵察機のような無人機が上空から地上にいるターゲットを攻撃する。

 アフガニスタンやパキスタンで行われる無人機による攻撃は米国内から操縦されている。カメラから送られてくる映像を見ながら、バージニア州にいるCIAの担当スタッフがジョイスティックで攻撃する。

 撃墜されても米国側には人的被害は出ないので理想的な手段として注目されているが、この無人攻撃機は狙ったテロリストだけでなく、無実の市民も多数巻き添えにすることがほとんどだ。無人機が頻繁に攻撃を行うアフガニスタンやパキスタンからは非難の声が上がり、外交問題に発展している。

2800人以上の一般市民が巻き添えに

 無人機による攻撃は、2001年の911同時多発テロ後からアフガニスタンで使われ始めた。ただ好戦的で容赦ないイメージで世界中から憎まれた当時のジョージ・W・ブッシュ前大統領ですら、無人攻撃機が一般市民の巻き添えにすると非難を浴び、攻撃は慎重に行っていた。

 だが、オバマは就任から300以上の無人機による攻撃を実施。これはブッシュ時代の5倍になる。もちろん彼が大統領に就任する前から、無人攻撃機によるコラテラルダメージ(巻き添え被害)は広く指摘されており、オバマ自身もブッシュの無人機による攻撃に反対していた。

 無人機の攻撃により、巻き添えになった一般市民は2004年から多くて2800人を超えるとみられている。突然爆撃されて命を落とす犠牲者たちは、まさかその命令を下しているのが、世界で最も影響力の強い米国の元人権派弁護士でノーベル平和賞を受賞した人物だとは考えたくないだろう。国連の高官も、無人攻撃機の遠隔操作はゲーム感覚の殺人につながると指摘している。

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