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» 2012年06月28日 08時00分 公開

伊吹太歩の世界の歩き方:人権派の人殺し、本当は怖いオバマ大統領 (3/3)

[伊吹太歩,Business Media 誠]
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テロリストっぽいから攻撃、それが誰かは分からない

 さらにオバマは「シグネチャー(特徴による)攻撃」と呼ばれる無人機による攻撃も行っている。この攻撃では、「テロリストらしい」動きをしている人がいれば、疑わしいという根拠だけで爆撃を強行する。

 つまり米国側は、実際にそれがテロリストだったとしても誰を殺しているのかは分からない。「あの民家にテロリストらしき集団が入って行った。攻撃した方がいい」というノリで、目をつけた人や集団などを爆撃で一網打尽にする。

 誰を殺したのかは後で分かればいいとの考え方だが、当然のごとく、テロとは無関係の人物やその家族を殺害してしまったり、多くの巻き添えを出したりしている。にわかに信じがたいが、こうした行為は実際に行われており、当事国だけでなく米国内でも当たり前のように批判が噴出している。

人権派弁護士という過去からは想像もつかない“変化”

 初の黒人大統領や、同性婚支持を表明した初の大統領など以外にもオバマにはありがたくない「初」がある。オバマは米国人である同胞の殺害を命じて実行した初の大統領でもある。米国で生まれ育ち、テロリストとなってイエメンに潜伏していたイスラム武装勢力「アラビア半島のアルカイダ」の幹部で米国人のアンワル・アウラキを無人攻撃機で殺害した。

 就任直後から、オバマ自身も自らの信条と現実の狭間で葛藤したらしい。「シグネチャー攻撃」のレクチャーを受けて、CIAからの攻撃許可要請に、あからさまに不機嫌になり、抵抗を見せていたと報じられている。しかし結局は折れて、殺害を続けた。

 そもそも現実主義者として知られるオバマは、あるかどうか分からない米国民に対する将来的なテロの脅威を、先手の殺人行為で未然に防ごうとしている。ただオバマのこうした現実主義がまかり通るなら、そもそも法律はいらない。

 ハーバード大学の法科大学院に学び、法律評論誌『ハーバード ロー レビュー』誌の編集長を務め、シカゴ大学の法科大学院で12年間、憲法学の教鞭を執ったオバマだが、法律を駆使して権利を主張してきた人権派弁護士という過去からは想像もつかない“変化”だ。そして、これこそがオバマの現実の姿なのだ。

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