こんなときに困るはず! 鉄道路線のキラキラネーム杉山淳一の時事日想(5/5 ページ)

» 2012年07月13日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]
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キラキラ路線名を正式名称にしてはいけない

境線の「砂かけばばあ駅」。撮影当時の正式駅名は御崎口駅。現在は改名されて大篠津町駅になっている。愛称は「砂かけばばあ駅」のまま変わらず

 「えちごトキめき鉄道株式会社」の難点は、その名が正式名称だからである。「日本海ひすいライン」も「妙高はねうまライン」も正式名称だ。愛称ではない。良い場面だけならいいが、ネガティブな事象が起きたらどうするだろう。その時だけ「旧北陸本線」「旧信越本線」とでもいうつもりか。しかし、北陸本線はJR西日本が、信越本線はJR東日本が路線名を使い続けている。「都合の悪い時だけウチと同じような路線名を使わないでほしい」と両社は困惑するに違いない。

 隣の路線との区別をつけたい。だからこそ新路線名が必要だった。それでも、もうすこし穏やかな、どんな場面でも使える路線名にすべきだ。冠婚葬祭の案内地図に書き入れづらい路線名で、地元の人々は困らないか。ほとんどの人々はクルマを使うので「鉄道の名前などどうでもいい」ということか。まさか、名付けた理由に「ちょっとヘンかもしれないけれど、利用者がいないから影響はない」という気持ちがあるのか。

 子育ても鉄道路線もお金がかかる。赤字覚悟だし、夢を持ちたい。「せめて夢のある名前を付けたい」という気持ちも分かる。しかし、新しい鉄道会社が、その名前のせいで地元や自治体から無視されたり、イジメられたりしないか。そのせいで廃線にならないか、心から心配である。

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