LCCを利用すればオトクなの? 知っておきたい「常識」これからのことがよく分かるコラム(2/6 ページ)

» 2012年07月18日 08時01分 公開
[稲垣昌宏,Business Media 誠]

LCCに明確な定義はなく「名乗り勝ち」

 まずはLCCの定義についてですが、実は明確な基準はありません。各社が自社を「LCCである」と名乗れば、業界内でLCC扱いというのが現在の状況です。

 そのため、各社のサービスレベルはまちまち。「機内食やアルコールが有料」「荷物は1つ目から有料」「シートリクライニングがなし」など、LCCのデメリットとしてよく耳にする話ですが、実際には、「機内食が無料」「ビールは1本までは無料」「一定の大きさまでの手荷物ひとつは無料」「シートリクライニングあり」など、会社によってサービスの内容が違います。

 また、そもそもの話ですが、LCC(=LOW COST CARRIER)が日本語で「格安航空会社」と翻訳されていることについても疑問です。直訳するなら「低原価航空会社」が正しく、レガシーキャリアが高コストで運航していることに対して、低コストで運航することで利益を出す航空会社というのが本来のニュアンスです。

 レガシーキャリアよりLCCが安い運賃総額になるかというと、そうとも言い切れません。LCCのチケットにも複数の料金体系が存在しますし、日本発の国際線では世界でも独特の「格安航空券」というチケット流通があります。

 レガシーキャリアの格安航空券の場合、路線によってはチケット価格が燃油サーチャージより安いケースも。レガシーの看板を捨てて「LCC」を名乗ったほうが「LCCなのに機内食も出るとは!」と満足度が上がるかもしれません。

 というわけで、「格安航空会社=安い、サービスが悪い」「レガシーキャリア=高い、サービスがいい」と決めつけずに、各社・各路線ごとのサービス内容と価格をちゃんと比較してチケットを購入することが、スマートトラベラーへの第一歩と言えるでしょう。

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