なぜアメリカは「原爆投下は正しい」と言い張るのか窪田順生の時事日想(2/3 ページ)

» 2012年08月07日 08時02分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

南京大虐殺の犠牲者数

ロサンゼルスの学生が学ぶ、教科書の副読本

 なんとも納得のいかない話だが、ここで気にかかるのは、「40万人」という犠牲者数だ。中国の南京大虐殺記念館でも入口には「30万人」の看板があるのに、米国はなぜさらに10万人も上乗せしているのか。

 ご存じのように、南京事件というのはいまだに犠牲者数に諸説ある。学者によっては40万人だとか、30万人だとか、5万人だとか、3000人だとか見解は分かれており、なかにはまったくの捏造だと主張している研究者もいる。ここまで幅があるのは、信頼に足りる「虐殺」の証拠がないからだ。

 当時、南京にいた各国の大使館職員だとか、牧師だとかは怪しげな伝聞しか証言していないし、外国人ジャーナリストたちは、福島第一原発報道を彷彿とさせるようなダイナミックなガセを飛ばしている。しかも、この時は中国軍が親日的な南京市民を殺害していたことも分かっている。

 そんな胡散臭い南京事件が「戦争犯罪」として初めて裁かれたのは東京裁判だ。ここでは南京入城に関する戦闘で、埋葬された遺体が15万5000体なので、少なく見積もっても「20万人」だとされた。もちろん、当時でも犠牲者は43万人だとか訴えている人々もいたにはいたが、連合軍というか、米国的には「20万人」がオフィシャルとされた。それがいつのまにやら、倍に膨れ上がって、米国の少年少女たちに刷り込まれることとなったというわけだ。

 実はもうひとつ、米国がかかわる虐殺で、終戦直後から犠牲者が「倍増」しているケースがある。

 それが広島だ。

 原子力爆弾は単なる「大量破壊兵器」ではない。被ばくをした人は、重い後遺症に苦しめられて亡くなっていく。つまり、「虐殺を継続させる兵器」なのだ。

 事実、この67年で広島の犠牲者は年をおうごとに増え続けている。今年の原爆死没者名簿は、直近1年間に亡くなった人や新たに死亡が確認された5729人の名前が書き加えられ、28万959人となった。

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