「プーチンを追い出して!」――マリア様にお願いした女性バンドに世界を学べ伊吹太歩の世界の歩き方(2/3 ページ)

» 2012年08月23日 08時00分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]

音楽ニュースから世界情勢を学べ

 ミュージシャンにまつわる政治的・国際情勢的なニュースは枚挙に暇がない。このようなニュースを見れば世界情勢がみえてくるケースも多く、それがニュースに対しても音楽に対しても興味が高まる要素になっている。

 最近で最も有名なケースはレディ・ガガだろう。ガガは2012年、インドネシアで行う予定だったコンサートに許可が下りず、公演できなかった。その理由は、若者に対して悪影響を与えるというもの。さらに、イスラム教国のインドネシアで「肌を露出するのが当たり前」という過激な衣装でステージに立てば、身の安全を保証できないとまでいわれた。

 これも形は違えど、言論弾圧の1つの形といえるだろう。同時に、インドネシアが世界最大のイスラム人口を抱える国であり、国内では保守的なイスラム教徒が発言力をもつことが示された。

 ヘビメタバンドとして世界的な有名なバンドであるメガデスもニュースを賑わした。シンガポールでのライブで、ボーカルのデーブ・ムステインが、コロラド州の映画館やウィスコンシン州のシーク教寺院など最近続発する乱射事件に対してトンデモ発言をしたのだ。

 ムステインは、「オレの国では、大統領が銃を禁止する法案を通過させるために、こうした(銃乱射事件による)殺人を起こしている」と話した。つまりオバマが銃乱射の「本当の」犯人だと言うのだ。するとアメリカでこの発言が大きな物議をかもすことに。

 ムステインはそもそもバラク・オバマ大統領が大嫌いで、一部でささやかれていた「オバマは米国生まれではない」という説を声高にぶちあげてオバマ批判をしたこともある。

 今、米国では一連の銃乱射事件に対して銃規制を強化するかどうかの議論が盛り上がっている。にもかかわらず、大統領や議会は銃規制の議論を真剣に行うつもりがないと批判されている。

 その背景にあるのは、今年行われる大統領選挙。再選を目指す大統領は、有権者の中でも割れるような重要な議論に踏み込みたくないのだ。さらにいうまでもなく、銃規制に反対する団体である全米ライフル協会は米連邦議会にも大きな影響力を持つだけに議会も下手な動きはできない。

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