就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントに辛いです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
皆さんは、大学生を中心とした就職活動中の学生たち(以下就活生)の間で、ある時期を境に「お祈りされてしまったよ」とか「今度こそは祈られなかった?」というたぐいの台詞が飛び交うことをご存じでしょうか。
お祈りとは「お祈りメール」のこと。要はメールで送られてくる不採用通知のことです。文章の末尾に「今後ますますの健康とご活躍をお祈りしています」といった文が添えられているために、就活生の間でそう呼ばれるようになりました。就活生から届いた古いメールや、私自身が以前書いた原稿などを見直してみると、今から5年ほど前には、ほぼどの就活生にも通用する言葉だったようです。ですから、それ以降に就活をしたという社会人なら、「お祈りメール」という言葉の苦さをよく知っているかもしれません。
しかし、去年あたりからお祈りメールの二極化が始まっています。一つは「お祈りという言葉を使わない」企業の出現です。お祈りメールという言葉の裏には、就活生が企業から馬鹿にされているという印象を含んでいます。そう「こんなテンプレートを送りつけて! 私が書いたエントリーシートにはどのくらいの時間がかかっていると思っているのだ!」という恨み節も含まれているのです。ブランディングを大切にしたい企業は、就活生にも嫌われたくないと、フレンドリーかつ誠実な対応を、不採用通知のメールにもしておきたいのです。それを受け取った就活生は「あ、この企業は他と違う。落ちてしまったけど、嫌な感じはしないな」という気持ちになる、と。
もう一方で、まったく通知をしない「サイレントお祈り」なる言葉が現れたのも最近の特徴です。サイレントお祈りとは、お祈りメールすら送らない、不採用は通知しない企業のこと。懸賞の「当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます」という仕組みと同じです。当然、提出した履歴書やエントリーシートの類いの返送はしないし、問い合わせにも応じません。
サイレントお祈りを採用している企業の選考を受けた就活生は、ただじっと待っていて、音沙汰のないことで自分が選考に漏れたことを察するという、なんとも宙ぶらりんでいてスッキリしない状態を我慢することになるのです(ただ、実際のところはソーシャルメディアなどで選考プロセスや状況は就活生たちによって勝手にシェアされていますので、選考漏れしたことはちょっと調べればすぐに分かるようにはなっています)。そして、ここのところ、このサイレントお祈りがさらに進化していて、就活生を困らせているのです。
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