風俗に身を落とし……待ち構えていた090金融のワナ「弱者」はなぜ救われないのか(4)(2/6 ページ)

» 2012年09月25日 08時00分 公開
[増原義剛,Business Media 誠]

待ち構えていた090金融の罠

 A子は消費者金融で100万円前後の多重債務者になった過去があった。数年前だ。これはなんとか返済したり、相手と和解したりして終わった。しかし、ブラックリスト入りした彼女にとってもはや消費者金融は借りられる対象外だった。

 結婚6年。夫は30歳代で普通のサラリーマン。手取りで25万円程度。3歳と5歳の子ども。親子4人での2Kでの賃貸生活だ。家賃が7万円台、税金、光熱代、食費など諸々を支払うと、どんなに切り詰めても、いつも月末には足が出るか、ギリギリだという。当てにしたいボーナスも出ない。

 「月末に決まって生活費が不足してしまうのです。でもお金を借りられるところというと銀行もダメ、消費者金融もダメ。そして、親兄弟にもこれまでに何度も借りてもう借りられる環境ではなかった。近所や友人は自分の性格からして借りたことはありません。もうどこにも借りられなかった」

 遊興費や無駄遣いが高じての借金とは異なるようだ。その証拠であるかのように確かに、A子の服装は質素だった。上下、ジャージに近く、バッグもコートもその辺のスーパーで安売りしているような類だ。化粧もマニキュアもしていない。身なりを見る限りは生活を切り詰めている主婦、人妻の姿だ。

 1年ほど前、どうしても生活費に3万円ほど欲しかった。どこにも借りる当てもなかったA子は携帯サイトの「お金貸します」というサイトにいきついた。

 「社名は知らなかったが、金利も年利で最高でも20%台とかで普通の消費者金融とそんなに変わらなかった。迷わず、お金を借りたいとそこに申請登録したのです。氏名、年齢、携帯の連絡先などを記入するだけの簡単な登録でした」。

 登録をして間もなく、その日のうちに「090」発信でA子の携帯電話に着信がある。見知らぬ番号だった。誰だろうといぶかりながら通話ボタンを押すと、落ち着いた感じの女の人の声。

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