インタビュー
» 2012年09月27日 11時00分 公開

「プロゲーマーという職業に希望を」――格闘ゲーマー・梅原大吾氏の挑戦 (3/5)

[堀内彰宏,Business Media 誠]

プロゲーマーはどのくらいすごいのか

――次にプロゲーマーはどのくらいすごいのかということを知りたいのですが、そもそも格闘ゲームというのはどういうことを競うゲームと認識していますか。

梅原 最初はやっぱり勝負事なのでロジック(理論)を競い合うんですね。そして、より完成されたロジックに向かってみんな努力をするのですが、どんなことでもそうですが、時間とともに追求できる部分が少なくなっていきます。最初はものすごいスピードで攻略がどんどん進むのですが、徐々に攻略できる部分が減っていって、プロゲーマーといってもアマチュアのすごく強い人と実力的にそれほど差がないという時期がどうしても来てしまいます。

 「じゃあ、それってプロの意味ないじゃないか」と思う人もいるかもしれません。ただ、(リリースから)時間が経ったゲームで勝った負けたで圧倒的な差をつけるのは難しいのですが、「見ていて面白い」とか、「彼の試合だったら見たい」とか、本人の人間性だったり、スター性だったりという部分が今のプロには求められています。

 「どのくらい強いのか」と言われれば、「時期による」という感じですね。最初はすごく長時間プレイするので、アマチュアとはすごいレベルの開きがあるのですが、今はインターネットでプレイもどんどん研究できるので、ゲームが煮詰まってきてしまうと、プロゲーマーとアマチュアの実力差は大きくなくなってしまいます。ただ、新しいゲームがどんどん出てくるので、新しいゲームが出た時には「やっぱりプロゲーマーってすごいな」と思わせるくらいの努力はみんなしていますね。

――実際に試合中どんなことを考えながらプレイしているかということを、最近の試合の動画(2分14秒からの試合)を見ながら解説していただければ。これはどういう試合ですか。

【世界最大規模格ゲー大会】 ウメハラが見せた神試合【Evolution 2012】

梅原 これはEvolution 2012のベスト8をかけた試合です。自分が使っているのは飛び道具を使って中間距離から攻めるキャラクター(右側)で、相手が使っているのは中間距離からキャラクター自身が突っ込んできて攻撃を当てるキャラクター(左側)で、両極端なキャラクター性能を持っています。

 こちらの狙いは相手が攻めてくるのを返しつつ、飛び道具で体力を減らしていく。相手は飛び道具をかいくぐって近付いて、ラッシュをかけるという、簡単に言うとそういう組み合わせです。

――(2:15、カウント99)開始時点では何を考えているんですか。

梅原 以前この相手と戦った時に自分が勝って終わっているので、「相手が多少無茶をしてくる可能性があるな」という読みがまずあって、序盤は様子見しようと考えています。

――(2:17、カウント98)飛び道具を打ちました。

梅原 ちょっと様子を見て何もしてこなかったし、距離を詰めてこようとしてこなかったので、飛び道具を打ってみた感じです。

――(2:20、カウント95)相手が飛び道具をよけて前に来ましたが、ここでは何を考えていますか。

梅原 考えるというか、その時その時で瞬間で判断するので、言葉にして考えているわけではないですね。だから、例えばこうやって近くなってきた時、「じゃあとりあえず距離を離そう」とか考えますね。考えていることというのは単純です。

――(2:26、カウント89)ちょっと距離が離れて、また飛び道具を打ったら、相手が攻めてきました。

梅原 残り体力でリードされているので、飛び道具でちょっとずつ戦うのではなくて、もうちょっと攻めないといけないなと、この時点で変えていますね。

 (2:31、カウント85)この辺はまだ自分のターンになっていないので、余計なダメージをくらわないようにガードをしているという感じです。

 (2:40、カウント74)どんどん前に行っているのですが、それを逆に相手が読んで、さばいているところです。

 (2:47、カウント68)この状況になるとかなり厳しいので、(右下のゲージを使って出す)ウルトラコンボと言われる技を当てて逆転するにはどうしたらいいのかということを考え出します。普通にやっていたら、多分この差は逆転できないので。

 (2:50、カウント66)と思っていたら、相手がストレートに攻めてきて割りとあっさり終わっちゃったというところです(笑)。

 これが格闘ゲームの基本的な考え方ですね。実際にやっている時は言葉にして考えないですが。

――人生で何試合くらいやっているんですか。

梅原 20〜30万試合くらいやっているかもしれませんね。期間にしたら20年です。

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