ではなぜ、都庁を舞台にした贈収賄が立件されたのか。何度も触れるが、贈収賄の容疑事実の1つとなった金額は110万円にすぎない。
以下は9月4日に配信された時事通信社の記事だ。
東京都水道局の発注事業をめぐる汚職事件で、警視庁の捜査員約30人が4日午前10時すぎ、新宿区西新宿の都庁第二本庁舎に家宅捜索に入った。
黒いかばんや紙袋などを手にした捜査員らは、硬い表情のまま、収賄容疑で逮捕された大機基宏容疑者(49)が3月まで係長を務めていた同局営繕課に入っていった。
〜(略)〜
現役の通信社記者時代、私は何度か東京地検特捜部の家宅捜索を取材した。捜査対象となった企業や個人宅に対し、数十人の検察官や事務官が“行進”するお決まりの構図だ。
一方、捜査対象となった当事者はこの“行進”を極端に嫌がる。企業や組織の信認が著しく低下する上に、従業員や職員の士気がガタ落ちになるためだ。
「捜査対象者のプライドを粉々にするのが派手な家宅捜索の本当の意味合い」(ベテラン弁護士)との声もある。
日頃ほとんど表に出てこない警視庁捜査二課が、都庁の担当部局を心理的に追い詰めるために派手な家宅捜索をやったのか。半分正解であり、残りには別の事情が潜んでいるのだ。
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