「カネのためなら何でもやる」――中国人がアフリカで嫌われている伊吹太歩の世界の歩き方(3/4 ページ)

» 2012年10月04日 08時00分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]

中国人に奴隷のように扱われるガーナ人

ガーナ ガーナ

 特に大変な状況になっているのが、西アフリカのガーナだ。2012年8月、ガーナ中国友好連合(GCFU)が、中国が絡む鉱業でガーナ人と中国人の関係が悪化していることに懸念を発表、政府に介入するよう求めた。GCFUによれば、ガーナの若者などがこれまでに鉱業分野で働く87人以上の中国人を銃殺している。

 最近になって、中国人側も武装を始めたことで危険度はさらに高まりそうだ。ガーナにはガラムゼイと呼ばれる金鉱採掘者がいるのだが、最近になって中国人も金鉱採掘を行うようになり、この分野でも中国人とガーナ人の間で緊張が高まっている。

 政府の介入を求めるGCFUの発表後も、混乱は一向に収まっていない。アシャンティ州では8月16日、ガーナ人が中国人に対する抗議デモを敢行。これに対して、中国人はガーナ人に向けて30分にわたり威嚇発砲を行い、ガーナ人が応戦する事態が発生した。

 現地のニュースには、ショットガンを手にした中国人2人が周囲を警戒する写真が掲載されている。そして火に油を注いだのが、その後の警察による捜査で中国人の中に9人の不法労働者がいたこと。9人は逮捕されるに至ったが、緊張関係はさらに高まる可能性がある(ちなみにケニアなど他のアフリカ諸国でも中国人が観光ビザで入国して商売を行っているとの問題が出ている)。

 地元メディアなどによれば、中国人はガーナ人を奴隷のように扱っているという。これについてGCFUは否定をしているが、ダム工事や鉱山などでタダ同然で働かされている人たちが多くいるのはよく知られた話だ。さらに森林伐採なども各地で行われており、伐採された木材の70%は中国に行き着くという。こうした状況がアフリカ中で起きており、その不満が各地で噴出し始めているのだ。

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