選べる自分か、選びにいく自分か――選択力を身に付けよ(2/3 ページ)

» 2012年10月12日 08時00分 公開
[村山昇,INSIGHT NOW!]
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「仕事を選びにいく回路」に留まっているかぎりジリ貧になる

 この2人の選択肢の差が、私の言う「選択力」の差です。選択力とは、厳密に言えば、「選択肢を増やし、結果的に“選べる自分”になる力」です。

 Bさんのように、都合の良いものだけを追いかける働き方をしている人は、そもそも選択肢を増やすことをしません。既存の選択肢に自分がすり寄り、あれこれ選り好みしているだけなので、早晩、ジリ貧になります。すなわち、「選びにいく自分」がそこにいます。

 ところがAさんは自分の抱く目的のもとに、さまざまな形で行動で仕掛け、自分をひらいている人です。恐らく、何かしら「仕事の世界観」を持っているのでしょう。その世界観がさまざまなヒト・仕事・機会……時にはカネを引き寄せることになります。

 自分の仕事の世界観を作るには、明確な目的を抱き(=自分が働く方向性・イメージ・意味を腹にすえ)、自分の道を“限定”していくことです。自分を目的に沿って限定することが、逆説的だが、実は、選択肢を広げることにつながっていく。

 今の世の中は、専門バカと言われようが、オタクと呼ばれようが、そんな小さな隙間分野に固執して大丈夫かと言われようが、自分の決めた目的の下に、粒立った一個の仕事人になることが「選択力」を高めることにつながります。

 「選べる自分」になるのか、「選びにいく」自分になるのかの分岐点は、理屈をこねず、怠け・甘え・臆病を排し、ひとたび腹をすえて、目的(当初はあいまいでもよい)を設定し、そこにがむしゃらに動くかどうかです。

 それを実証してみたいなら、何かに3年間しがみついて、こだわって、没入してみること。すると選択肢が自分のところに寄ってくるのが分かるでしょう。

 多少の勇気と不屈の心さえあれば、「選べる自分」に人生転換することができます。特別な能力は必要ありません。

 私は毎朝メールボックスを開けるのが楽しみです。今日も既知・未知の誰かから、何かしらプロジェクトの提案メールが来ているかもしれない。「選べる自分」になると、未来がワクワクします。

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