“鉄人”金本が阪神に残した、一塁への全力疾走臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(3/5 ページ)

» 2012年10月24日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

ノロマなドロガメを育んだ「父の教え」

 そして余りにも対照的だった両者の立場は、並々ならぬ努力と根性によっていつの間にかドロガメが逆転することになる。そのルーツは一体どこにあったのか。前出の関係者は「お父さんの影響が大きいんですよ」と力説し、こう続けた。

「カネ(金本)のお父さんはとにかく立派。まさに努力の人ですよ。その昔、ダンプの運転手をやっていたんですけど『不器用なオレが結果を出すためには、人の2倍、3倍働かなきゃいけない』といって、それこそ食事の時間を惜しむぐらいに常に全力で仕事をしていた。それが会社に認められたんでしょうね。運転手のまとめ役を任され、数年後には『丸兼』という土建屋を興して大成功を収めたのです」

 人一倍の頑張りと努力で成功をつかんだ父の姿を間近で見ていた息子は大きく感化された。だからこそ、苦労しても辛いと感じることは一度もなかった。広陵高校から中央大学のセレクションに落ちて、ヤクルトのテストにも落第。1年浪人したものの野球推薦は受けられず、当時は無名だった東北福祉大に入学した。

 前記したとおり、確かに後のドラフトでは広島からお呼びがかかったものの、そのときの指名順位はクジ引きで負けた末の「外れ4位」。それでも「これも自分が成長するための試練」として素直に受け入れ、挫折しないですべてを乗り越えることができた。やはり父親の教えが大きく生きていたのであろう。

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