売れすぎて休業した100円ショップに見る「売れるヒント」カイモノマーケティング(1/3 ページ)

» 2012年10月25日 08時00分 公開
[澤地正人,Business Media 誠]

著者プロフィール:澤地正人

1976年東京都生まれ。店頭における営業活動や、販促支援、売り場づくりまでを行う「店頭マーチャンダイジング事業」を展開する株式会社マックス取締役。店頭を起点としたマーケティング部門の統括責任者として、価値を伝えきる売り場・売り方の実現について、メーカー様向けに流通戦略から店頭施策、販促企画など幅広いプランニングを手掛けている。近著に『セールスデザイン〜売れる仕組みの作り方〜』がある。


 2012年7月21日、アジア1号店として大阪にオープンしたデンマークの激安雑貨ショップ「タイガー」は、売れすぎて一時休業になるほどの盛況ぶりでした。北欧デザインの雑貨は100円〜と低価格で、ユニークなアイデア商品も多く、見ていて飽きない品揃えやカラフルな商品陳列、イケアのように店内すべてを回らせる動線の「ワンウェイコントロール」で全商品を見せる作りなど、ユニークな仕掛けがたくさんあり、3カ月半分の在庫が1カ月で売れ切れたそうです。

 この「売れすぎて休業」というあまり類を見ない現象から、今日のショッパー(購買者)に「売れる」ための秘訣が垣間見えます。それは、タイガーのWebサイトにも載っているように、「安さと楽しさ」の演出です(参照リンク)

 今日のショッパーは、消費増税への不安や経済の不安定さ、電気料金の値上げなどの影響により節約志向が上向いている半面、急拡大するネットショッピング、震災以降新たな客層を取り込んだコンビニに次いで「高級スーパー」へのニーズも増えています。つまり、単なる節約志向だけではなく、相応の価値を感じて納得できれば購買するという「出すモノには出す」=「納得志向」を併せ持っているといえそうです。

カイモノ ここ1年で利用の増えた業態(マックス調べ)

 この節約&納得志向を持つショッパーは買わないわけではなく、買うきっかけや言い訳を求めているのです。「自分へのごほうび」もそうですし、コンビニでランチを買うときにカップラーメンとトクホのお茶を買って「これ飲むからいいか……」と言い聞かせるのも同様ですね。

 このように、買おうとする自分をいかに納得させるかが購買の決め手となるのです。ショッパーが買うことを納得するための要素が前述のタイガーにも見られた安さと楽しさの演出です。

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