ワクコンサルティング株式会社執行役員・チーフコンサルタント。名古屋工業大学産業戦略工学専攻修了後、大手化学工業品メーカーで商品企画開発に従事。その後、事業開発プロジェクトのプロジェクトリーダーとして、問題分析手法を活用した業務改革テーマの創出や、サービスサイエンスを取り入れた新規事業戦略立案に貢献。現在はサービスサイエンスおよび新規事業開発を中心に支援を行っている。
これまで「お客さまの満足度を高めるためにはどうするべきか?」という視点からスターバックスなどの事例とともにサービスサイエンスの理論を紹介してきました。
とは言うものの、そもそもお客さまに来ていただかなくてはサービスを提供して満足いただくことはできません。そこで一つ重要なのが「サービスを利用する前」の段階で自社サービスを選んでいただくための工夫をすることです。
例えばサービスを利用する前では、どのサービスが自分の事前期待に合っているのかが分かり難く、サービスを選択する際に大きな不安を感じることがあります。また、サービス利用中であっても、サービス品質や効果が見えにくくて何となく不満感があったり、待たされてイライラしたりなんてことがよくあると思います。
そこで、目に見えないサービスを「見せる」ことができれば、サービスを選択する時の不安感の軽減や、サービス利用時の満足感を高める効果が期待でき、それ自体がサービスの差別化になりそうです。それでは「サービスを見せる」ことについて4つの視点で見ていきたいと思います。
「サービスは目に見えない」とはいえ、お客さまに見える部分はたくさんあります。店舗の外観や内装もそうですし、サービススタッフの服装や表情もそう。昔からよく言われることですが、例えば人の印象というのは「見た目5割、口調3割、話の内容1割」というほど、目に見える部分を磨くということは重要なんですね。
この見える部分を極めているのはディズニーランドですよね。見せる部分と見せない部分をきっちりと分けて、見えている部分は徹底的に磨く。ドアノブ1つから歩道の材質まで、コンセプトに合わせてとことんこだわっています。
いきなりこのレベルまでに到達するのは難しいという場合は、例えば予防保全を徹底することから始めてみてもいいかもしれません。例えば長崎のハウステンボスでは、以前は「花は枯れてから植え替える」「手すりはさびてから塗装し直す」という事後対応であったのを、「見た目が悪くなる前に保全する」予防保全に切り替えて徹底することで、園内が新鮮な印象になっただけでなく、スタッフ自身もお客さまの気持ちに敏感になり、活気が戻ってきたという事例があります。
このように、今お客さまに見えている部分の魅力を磨くことは、最低限押さえておきたい視点のひとつですね。では、「すでにお客さまに見えている部分を磨くこと以外にどんなことができるのか?」。本題に入っていきましょう。
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング