夜行列車が廃止され、夜行バスがその役目を担う。ローカル鉄道路線が廃止されると代行バスが走る。しかし、その代行バスでさえ減便し、あるいは廃止になった地域もあると聞く。都市のバス路線も改廃を繰り返している。
鉄道に注目していると、バスは鉄道が失われた後の、地域交通の最後の砦(とりで)のように見える。バスは鉄道に比べて設備投資や運行維持費は少ないから路線を開設しやすい。ルートの変更にも柔軟に対応できる。しかし、廃止されやすいともいえる。
公共交通の問題は過疎地も都市も抱えている。鉄道がなくてもバスがあればいい、という考えは甘い。バスでさえ赤字を生む。なんでも赤字だから廃止しよう、という方針になると、あなたの家のそばを走るバスが消えるかもしれない。
人々の移動する権利はどのように保たれるべきか。ここ最近のバス路線のニュースは、その問題を改めて示した。「自分はクルマがあるからいい」「ちょっと遠いけど駅まで自転車に乗れるから」――地域にそんな人々が増えると、バス路線は消える。バスに頼っていた人々が取り残される。鉄道もバスも、路線の存続問題で最も大きな障害は、沿線の人々の無関心である。
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向谷実氏が考える鉄道と音楽(前編)――発車メロディ3つのオキテCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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