今さらですがFacebook使うのって危ないよ、絶対(1/2 ページ)

» 2012年12月04日 08時00分 公開
[坂口孝則,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:坂口孝則(さかぐち・たかのり)

未来調達研究所取締役。大阪大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。未来調達研究所株式会社取締役として、コスト削減のコンサルタントを行う。著書に『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)など。


 以前、米国人と話していた時、「MySpaceによって将来の大統領選は成立しなくなる」と言っていた。3年前のことだ。MySpaceとは米国で当時大流行していたSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)だった。

 なぜ大統領選が成立しなくなるのか? 「誰だって若いころはクスリでラリったりとか、女性と関係を持ったことを自慢気に語るだろ。多かれ少なかれ、若気の至りってのはある。これまでは、誰も他者の過去は分からなかった。だけど、これからは自分の過去がしっかりとサーバーに記録されているんだ!」。そう、しかも本人の自発的な書き込みによって。

 対立候補のネガティブキャンペーンをやろうと思えば、どんな候補者だってすぐに過去の悪行を暴くことができる。どんな品性高潔な人物だって、20年をさかのぼれば、浮気・暴行・賭博・クスリ・暴言・品性下劣などの行動が一つや二つは出てくるだろう。そんなことが暴かれ続ければ、米国民は誰に投票すべきか分からないという。「だから大統領選は崩壊する」と。彼の予想が正しいかどうかは、現在の高校生・大学生が大統領候補になっている20年後に分かるだろう。

 ところでこの記事の読者は、自身のソーシャルネットワーキングサービスへの書き込みが、20年後に読まれたとして品位を保てるだろうか。読者が20年後に部長か取締役になっていたとして、新入社員から「部長も若いころは、お局(おつぼね)のアケミさんとねんごろだったんですね」と笑われてしまっては、威厳も貫禄も消滅するに違いない。

 そして私が米国の友人から話を聞いた3年後、今ではFacebookで猫も杓子もこぞって自らのプライバシーを晒すようになった。Facebookよりもmixiの優位性が続くだろう、と言われていた時が懐かしいくらい、日本人もFacebookで自分自身の情報を投稿しつづけている。

Facebookと税務当局

 とりあえず、私はFacebookの株価がどうなるとか、マーク・ザッカーバーグの資産がいくらだとか、Facebook広告の投資対効果がどうだとか、セキュリティの脆弱性があるとか、それらについて興味はない。もちろん、Facebookのセキュリティに問題があると困るけれど、フリー(無料)である以上はFacebookを責め続けるわけにもいかず、諦観の上で使用する必要はあるだろう。

 それよりも私の興味関心は、Facebookがいかに税務当局から使用されるかにある。私が見ていて、あまりに「危なっかしい」Facebookユーザーがいる。会社の役員クラスであるにもかかわらず、私生活を公開しすぎなのだ。例えば、外車で遊びまわる写真をアップロードしている。レストランでの豪奢なそぶりを、笑顔とともに公開している。

 あのー、みなさん間違っても、そのクルマは社用車として会社損金で減価償却していないですよね? 明らかに彼女か愛人としか見えない相手との食事を接待交際費で落としていないですよね? ちなみに、Facebookの写真に見える資産は、万が一のときに差し押さえられてもいいんですよね?

 プライベートな支出を会社経費として損金計上することはできませんけれど、分かっていてFacebookで公開しているんですよね?

 ……とまあ、私が心配する必要もないけれど、それくらい「大胆」な、というか、無防備な投稿が多い。もちろん、個人の生活を可視化・透明化したところで、清廉潔白であれば税務当局など怖くないだろう、とする意見もあるに違いない。しかし、むやみやたらに取引関係者・利害関係者を公にしてしまうことのメリットばかりではないはずだ。

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