このような状況下で、日本が中国に対抗していくためには、まずは日米関係が支えにならなければならない。米国も、アジアで中国が覇権を握るのは好ましくないと考えているから、日本や韓国との同盟関係を通じてアジアにコミットしようとしている。その点では日米の利害は一致すると思う。
さらに日本はロシアやASEANと経済的なつながりを強めることが必要だと思う。もちろんロシアの場合は、平和条約を結ぶことも重要なステップだ(ロシアと平和条約交渉が進むだけで中国に対する牽制になるはずだ)。その上でロシアからエネルギー輸入(天然ガスあるいはLNG、あるいは電力)も真剣に検討する必要がある。
ASEANとは、いわゆるRCEP(東アジア地域包括的経済連携)とを通じて結びつくことができる。ここにはもちろん中国も入っているが、インドやオーストラリア、ニュージーランドが加わることで、中国が単独で主導権を持ちにくい構成になった。同時に必要なのがTPPへの参加だ。TPPに参加することで中国に対する日本の立場は強くなるだろう。TPPは単に自由貿易というだけでなく、まさに安全保障上からも必要な経済連携であるということだ。
こうしたことを考えれば、安倍政権の最初の試練はTPP参加を参院選前に打ち出せるかどうかということだと思う。すでに高市政調会長は「参加容認」という発言をテレビで行ったが、果たしてこれが党内で受け入れられるのか、それとも反発を食うのか、興味深いところである。もし農業団体の反発を恐れてTPP参加を打ち出すのが遅れるようであれば、安倍首相が狙っているような日本の国力回復という「大望」は遠のいてしまうかもしれない。そしてその時は日本そのものも、取り返しのつかないほど泥沼にはまりこんでしまう時だと思う。
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