レーダー照射はあるけど……公明党山口代表「8月12日を目標に日中首脳会談を実現したい」(2/4 ページ)

» 2013年02月08日 11時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

8月12日を目標に首脳会談を実現したい

山口 2012年は日中国交正常化40年という1つの節目でした。今年は日中平和友好条約締結35周年というもう1つの節目です。2年続けてこうした日中の重要な節目のチャンスを失敗させるわけにはいきません。(1978年)8月12日が締結日ですが、それを1つの目標にして早期に首脳会談を実現できるように、そして関係が改善し、戦略的互恵関係の実質が深まるように双方努力を重ねていきたいと思います。さまざまな緊張関係が生じていますが、これを和らげ、そして不測の事態を回避して、大局的な関係に進んでいくことが両国の政治指導者の大きな責務であると考えます。

 東シナ海で日本の護衛艦に中国海軍の艦艇からレーダーが照射されたということが今、ホットなイシューになっています。しかし、こうした問題についても冷静に対応し、中国側の自制を求め、今後、こういう事態が発生しないような仕組みを作っていく努力が必要だと思います。

 特にこの点については海上連絡メカニズムということで、両国がホットラインを作り、対話を定期的に行い、現場での連絡も取り合うようなメカニズムを作っていこうということで2012年7月に当局者同士での合意に至っています(参照リンク)。しかし、政治的な合意として最終的にフィックスされていません。こういうことをきちんと両国の合意にして不測の事態を避ける、現実的な進展が必要だと考えます。

 また、その後の対応の中で、1月30日付人民日報で平和発展への道という習総書記の講話の記事が載っています(参照リンク)。これは1月28日になされたものと報道されていますが、ここには従来の中国側の主張に沿った部分もありますが、今後の問題解決への新たな姿勢と思われる部分もあるように思います。こういうメッセージをしっかりと受け止めて、今後の関係改善への道筋を作り出していく必要があると考えます。

 いずれにしても国際的にこういった対話が進む雰囲気を醸成していく必要もあります。また、過去の不測の事態を回避するさまざまな取り組みを参考にしながら、日中間でもそうしたものを重ねていく努力も引き続き必要だと考えています。

 習総書記と我々との対談の中で、印象に残った発言がありました。それは「日中関係40年間の発展を支えた原因は4つの政治文書にある」ということを繰り返し述べられたことです。その4つの政治文書の中心が日中平和友好条約です。

 この条約では柱として日中のプラス面として互恵関係を発展させるということが書かれています。また、マイナスを防ぐという面で武力を使ったり、武力による威嚇をしたりしないということが明記され、一方で両国は覇権を求めないということも提起されています。

 特に尖閣諸島をめぐる問題については、自民党の高村正彦副総裁は「これ以上問題が続くと“戦略的互損関係”になるので続けるべきではない」とおっしゃっていますが、まさにその通りだと思います。

 これまで日中のさまざまな関係者が経済はもちろん、文化や学術、人々の往来といった道を切り開き、発展させてきました。また、日本はすでに高度成長を経験し、さまざまな教訓も学びましたが、今、中国は高度成長のさなかにあると思います。そうした中で例えば、環境保全の問題や、社会の人口構造の変化に対応する社会福祉の施策など、日中が協力する分野は非常にたくさんあると思います。ともにこういった共通の利益につながる分野でもっと関係を維持し、深め、広げていかなければならない。その大局に向けて、方向を転換していかなければならないと、対話の中で強く思いました。

 習総書記が繰り返した言葉でもう1つ印象に残っているのは、「対話と協議によって問題をコントロールしていかなければならない」ということを繰り返されたことです。

 国民の意識、そして多岐にわたる政府や政治部門の意思を1つに統合して、戦略的互恵関係の推進を図っていくことは必ずしも簡単なことではありません。しかし、この事態は単に日中間の問題のみでなくアジアや国際社会に対して、重要な影響があります。安倍首相の親書の中にはこの点についても、アジア太平洋並びに世界に対して日中は共通の責任を負っている、ともに大局的に戦略的互恵関係を推進していきたいという言及がなされていたと聞いています。

 中国はこれから春節を迎えます。日本ではその時期に春一番が吹きます。これは春を迎える印として、日本の人々が喜ぶ象徴でもあります。しかしこの言葉が生まれた背景には海の事故がありました。ですから、海難を防いでいこうという人々に対する戒めの意味も含まれています。そういう言葉を紹介しながら、この冬を春に変えて、関係改善を図っていこうと対話を結ばせていただきました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.